第11回 食卓が華やぐ、味付き・色付きの塩

〜 第11回 〜
食卓が華やぐ、味付き・色付きの塩

ソルトコーディネーター 青山志穂

ソルトコーディネーター 青山志穂
一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事。塩の知識啓蒙のため、塩のプロであるソルトコーディネーターの育成のほか、国内外を飛び回りながら塩の基礎知識や使い方に関する講座を実施。メディア出演、執筆売場のコーディネート、商品開発、シェフとのコラボなど活動は多岐にわたる。

みなさん、こんにちは。塩の正しい知識や使い方、塩全般の魅力をお伝えする活動をしている、ソルトコーディネーターの青山志穂と申します。連載を通して、みなさんの生活がぐっと豊かにおいしく、そして健康的になる塩の使い方をお伝えしていこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。今回は、塩にハーブやスパイスをブレンドして味付けしたシーズニングソルトをご紹介します。
前回まではこちら

シーズニングソルトとは

シーズニングソルトを英語で書くと“seasoning salt”。 日本語では「調味塩」と呼ばれます。“season”と入っているので「季節?」と思うかもしれませんが、実は英語の“season”には「味をつける」という意味があります。“season“(味付け)を“-ing”(~する・している)する“salt”(塩)なので、つまりは「味を付けてくれる塩」という意味になります。“seasoned salt”(味つけがしてある塩)という呼ばれ方をすることもあります。

シーズニングソルトとは

シーズニングソルトの魅力は、なんといっても料理に使った際に味付けが一発で決まるという点でしょう。しかも、ハーブやスパイスが入っているので味がはっきりしていたり香りがあったりとわかりやすくおいしいものが多い上に、スパイスやハーブを別に用意する必要がないので準備も簡単というメリットもあります。また、彩りも鮮やかになるので、ふりかけただけでなんとなく料理が華やかになるという点もうれしいポイントですね。

シーズニングソルトの種類

塩にハーブやスパイス、またはエキスなどで味がついていれば全て「シーズニング」という分類になるので、その種類は星の数ほどあります。ブレンドするスパイスやハーブによっていかような味にも変化をさせられる、そういう意味でシーズニングソルトの可能性は無限大です。昔はハーブやスパイスをブレンドしたものがほとんどで、日本でいえば「抹茶塩」が代表的なシーズニングでしたが、最近ではその製法も種類も多様になってきています。例えば、塩分濃度が濃いだしを作り乾燥させて塩に加工したもの、燻製にかけたもの、フードロスの観点から、食品残渣を利用した塩づくりも活性化してきており、次々と新しい製法が生み出されています。そのままでは活用が難しい食品残渣も、塩という形に変化させることでおいしく美しい食品に生まれ変わることができます。例えば、レストランで使用する食材のうち、調理過程で発生する野菜やくだもの、魚などのお客様にそのままでは提供できない部分を再利用し、丁寧に乾燥させて粉末化させたパウダーをブレンドしたものや、ワイン製造の際に出るワインの絞りカスを再利用して製造されたシーズニングソルトなどがあります。

シーズニングソルトの種類

シーズニングソルトは鮮度が命

純粋な塩は、無機質の塊で腐敗する要素が含まれていないため、賞味期限がありません。だから数億年前に結晶化した岩塩を今でも食べることができるわけです。一方、塩以外の食材が含まれるシーズニングソルトには、賞味期限があります。配合された食材が腐敗してしまうことはほとんど見かけませんが、ゴマや柑橘類の皮などの油分を含む食材がブレンドされている場合は、時間の経過とともに油が酸化して嫌な香りが全体に移ってしまうことがあります。また、ハーブなどの緑も時間とともに退色して茶色になってしまうので注意が必要です。シーズニングは鮮度が命。開封したらできるだけ早く使い切るようにしましょう。

今回ご紹介する商品はコレ!

食卓を華やかにしてくれる「からふるそると」
¥1,620(税込)

塩の達人・青山さんが全国各地の塩の生産地を訪問してセレクトした、バラエティ豊かな国産のシーズニングが詰まったセットです。1つの1つの塩の説明やおすすめの使い方が記載されたパンフレットも入っているので使いやすさ抜群です!

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黒い塩(株式会社男鹿工房/秋田県)

黒い塩(株式会社男鹿工房/秋田県)

相性の良い料理:卵料理、アスパラガス、レバー、地鶏

青竹の中に秋田県産の「男鹿半島の塩」を詰めて炭焼き窯で高温焼成しています。数ある炭塩の中でもずば抜けて艶のある漆黒で、見た目はまるで宝石のようです。溶ける際にほんのりと硫黄の甘い香りが鼻孔をくすぐるのも特徴のひとつです。卵料理にかけるだけで料理の雰囲気がぐっと変わります。

湧出の塩 だし塩(伊江島製塩/沖縄県)

湧出の塩 だし塩(伊江島製塩/沖縄県)

相性の良い料理:牛肉、卵、吸い物

沖縄県の離島・伊江島の海水に香味野菜などを入れて煮込み、高塩分濃度のスープを作ってから、それを焦げないようにさらにじっくりと煮詰めて結晶化させた塩です。塩の結晶の中にもスープの味が含まれているので、味にムラがなく、最初から最後まで安定しておいしいスープの味わいを楽しむことができます。

さかたの塩 ロゼワイン塩(株式会社さかたの塩/山形県)

さかたの塩 ロゼワイン塩(株式会社さかたの塩/山形県)

相性の良い料理:牛肉、熟成したチーズ、赤ワイン

元料理人でもある塩職人が「できるだけ食材の全てを活かしたい」という思いの下、赤ワインを絞った際にでる絞りカスに注目。独自に編み出した製法で、鮮やかな赤紫色のほんのりと赤ワインの風味のある塩を生み出すことに成功しました。この塩で調味をして食べながら、赤ワインを飲めば、お口の中でマリアージュが完成します。

べるがスパイス No.11(株式会社アルプス/山梨県)

べるがスパイス No.11(株式会社アルプス/山梨県)

相性の良い料理:赤身魚の刺身、赤身肉、揚げ物

バーベキュー場としても人気を博す北杜市のアウトドアアクティビティ施設「べるが」が、自社製造の温泉塩をベースに複数のハーブや香味野菜をブレンドしたバーベキュー用のシーズニングです。どんな食材にかけてもおいしい、粉末ドレッシングとも言える濃厚なうまみを楽しめます。
※温泉塩が非常にまろやかなため、味のバランスをとるために岩塩(海外産)も併用しています。

日本と世界の塩の図鑑

しっかり塩を勉強したい方は、こちらの本もおすすめです。

日本をはじめ世界各国の245種類の塩について、詳しい説明やおすすめの使い方が記載されている他、塩の豆知識や基礎知識を学ぶことができます。

日本と世界の塩の図鑑

¥1,650(税込)