やると決めたら徹底的にやる
アイデアマンで、しかも思いついたことは即実行に移す行動力の高い千葉さん。そう書くとあれもこれも中途半端に手をだしていそうなイメージですが、驚くべきは手がけた全てに対して非常に丁寧であるということです。塩は、ネット式塩田に鉱石の力も足して作った天日塩のほか、釜炊き塩、だし塩、イカスミ塩、泡盛塩など、非常にバラエティ豊かなラインナップを製造しています。製塩事業のほかにもサトウキビ栽培や、お菓子の製造まで手がけており、塩も評判が高いですがサトウキビも高評価を得て、高級菓子店の原材料に選ばれたほど。本人は口癖のように「俺はいい加減だから」と言いますが、その質の高い仕事ぶりには目を見張るものがあります。
誰もやらないなら俺がやろう
千葉さんは沖縄の出身ではありませんが、縁あって伊江島に住むことになり、それまでの経験を生かして飲食店をオープンしました。そこでふと気がついたのが、他の島には塩があるのに、伊江島にはないということ。「塩をつくったらいい土産品になるのではないか」と考え他の人に話をしてみたものの、誰もやりそうな人がいません。「誰もやらないなら俺がやろう」と、自ら製塩事業を始めることにしたそうです。取水場所として選んだのは、島の人に昔から大事にされてきた、海底から地下水が湧き出てくる「湧出(ワジー)」と呼ばれるスポット。真水で薄まるので製塩効率は悪くなりますが、大地のミネラルが含まれた地下水入りの海水を使うのがポイントだそうです。
今までになかったシーズニングを生み出した
従来のシーズニングは、できあがった塩にハーブやスパイスをブレンドしたものがほとんどでした。どうしても保存している間に分離して使う時に味にムラができやすいというのが気になっていた千葉さん。なんとかムラのない味付きの塩ができないかと考えて思いついたのが、塩分濃度の濃いスープを作って煮詰める方法でした。料理人歴が長い千葉さんにとって、おいしいスープづくりはお手の物。海水をベースにして高塩分濃度のスープを作り、それを煮詰めて結晶化させることに成功しました。できあがった塩は、最初から最後まで味が均一で、そしてどこの部分をとっても味に偏りがありません。焦って強火にしすぎると焦げて台無しになってしまうそうで、根気強くじっくりと煮詰めていくのがコツだそうです。
塩職人
千葉 武夫
みんなが「おいしい」って言ってくれるのが嬉しくてここまで塩づくりをしてきましたが、そろそろ年齢的にも事業継承したくて、製塩所を継いでくれる人を探しています。伊江島はいいところなので、興味のある方はぜひ声をかけてください。
伊江島製塩の商品
tabishio select からふるそると
様々な塩の最適な使い方を研究しているシニアソルトコーディネーターの青山志穂さんが選んだ、塩にスパイスやハーブ類をブレンドするなどして味や香りをつけ足した「シーズニングソルト」4種類のセットです。