【京都府井手町】
笹川健一
アンティークのような温もりと現代的でシャープな佇まいを合わせ持つ唯一無二な作風で、
国内外から注目を集める気鋭のガラス作家・笹川健一さん。
金沢で過ごした時間と出会いを契機に編み出した独自の技法による作品が、ガラスの美しさに新たな風を吹き込みます。
「再生ガラス」を用いた端正なデザインが魅力
笹川健一さんは、京都府南部、山里に囲まれた静かな町の一角にある工房にて制作を行うガラス作家です。「再生ガラス」を用いた独自の技法によって表現される、グレーがかった独特の色味が特長的な、実用の器を中心に手がけています。古典や伝統、歴史的文化から学び得た知見を応用しながら、今の時代にあった端正なデザインを追求しているという笹川さん。アンティークのような温かみと薄手でシャープなフォルムから漂う現代的な佇まいが共存した作品は、国内だけでなく海外からも注目されています。
金沢での出会いと価値観の変化が、
独自の作風へたどり着くきっかけとなりました
大学時代からガラスを学んでいた笹川さんですが、転機となったのは卒業後に移り住んだ石川県金沢市での出会いです。陶芸、漆芸、染、金工そしてガラスといった幅広い工芸の担い手を育成する工芸工房の研修生となった笹川さん。歴史と伝統が今もなお息づく土地で、さまざまな経歴を持つ職人たちと過ごした時間が、それまでの価値観を揺さぶり、今の作風を生むきっかけとなりました。笹川さんが使うのは、使用済み蛍光管のチップを再利用した「再生ガラス」。元から微かな緑色をした再生ガラスに、コバルトや銅などの酸化金属を独自の配合で加え、自分の美意識に合う色味を作り上げているのです。また、再生ガラスを使うからこそ入りやすい気泡を、あえて閉じ込めたままにしているのも笹川さんならではの表現と言えます。
ガラスの新しい美しさに出会う、
アンティークでモダンな唯一無二の佇まい
泡1つない綺麗なガラスは確かに美しいのですが、笹川さんはそんなガラスにどことなく物足りなさを感じていたと言います。そのような思いから辿り着いたのが、絶妙なニュアンスの灰青色と、再生ガラスの性質を利用した細かな気泡で魅せる独自のガラス生地でした。ヨーロッパのヴィンテージガラスを思わせる雰囲気と、どこか今っぽいシンプルでシャープな印象を合漂わせる笹川さんの器は、今まで知らなかったガラスの新たな魅力に気づかせてくれます。
ガラス作家
笹川健一
器は、使うことでさらにその魅力を増すアイテムです。透過性のあるガラスは光によってその表情を変え、盛り付けた料理や飲み物と響き合いながら器の中の景色を作ります。繊細な気泡と灰青の色味を持つ私のガラス作品だからこそ見られる景色を、美しいと感じていただける瞬間があれば嬉しいです。