【秋田県湯沢市】
石孫本店
秋田の豪雪地帯でもある湯沢市で、安政2年の創業時とほぼ同じ手造りの仕込み方法を継承し、地場産原材料にこだわった造りを続ける味噌醤油蔵。
麹での麹づくりを続けている蔵元は全国でみても数えるほどです。
長い歴史の中で石孫本店独特の微生物の生態系ができています
安政2年創業、現在の当主で6代目。初代から代々石川孫左ヱ門を襲名してきたことから石川の「石」と孫左ヱ門の「孫」をとって、「石孫本店」と呼ばれてきました。秋田県産原料のみを使用し、麹蓋での麹づくりや木桶による熟成を行う創業時とほぼ同じ手造りの仕込み方法で、醸造文化を守り継承しています。長い長い歴史の中で石孫本店独特の微生物の生態系ができていてそれが独特の美味しさにつながっています。また、国登録有形文化財の内蔵や仕込み蔵をはじめ母屋などの歴史的建造物を保存活用し、醸造業で栄えた旧岩崎町の街並みを今日に伝えています。
昔ながらの製法を守り続ける
醤油づくりで最も重要ともいわれる麹づくり。現代では機械制御で品質の安定を目指す手法が一般的ですが、石孫本店では「麹蓋(こうじぶた)」を使っています。お盆のような形の容器を使う手法で、一度の仕込みに数百枚を使います。麹を造るために必要な小麦を炒める焙煎機はレンガ造りの大正時代から使い続けているもので、熱源は石炭。麹ができるまで石室の温度を床にある囲炉裏の埋火と天井の空気孔で一定に保つために昼夜を問わず世話をします。高さ2mを越す木桶に入れてからも、蔵付き酵母や四季の気候の助けが十分生かされるよう櫂棒で攪拌を続けます。
古来の伝統製法を頑なに守り続けて仕込んだ天然醸造醤油
原料に地元湯沢産大豆、秋田県産小麦、粗挽きの天日塩のみ、水は枯れることなく水を蓄えた石孫本店の井戸水を使用した昔ながらの濃口醤油。大豆は砕かず丸大豆のまま、国登録文化財の蔵に鎮座する胴回り4メートルもの大木桶に仕込み、1年以上熟成させた一番搾りのみを使用します。古来の伝統製法を頑なに守り続けて仕込んだ天然醸造醤油です。石孫本店の蔵の中と同じ心安らぐ香りが広がり、うま味はしっかりしながらもすっきりした味わいが特徴です。
石川裕子
仕事をすることは生活の糧だけど、喜びの心がないといけない。そうしないと寂しいと思うんです。私たちは昔からの道具を使い続けることが仕事のひとつなんですけど、木炭の熱と光が柔らかくていいんですよ!