【愛知県瀬戸市】
樽田裕史
陶器一般を指す「せともの」という言葉の由来にもなった「瀬戸焼」の産地として知られ、焼き物と共に歩んできた街、愛知県瀬戸市。
この地を拠点に制作する新進気鋭の陶芸家・樽田裕史さんは、
陶磁器に透かし彫りを施す「蛍手」に特化し、美しい光を纏った端正な器を数多く手がけています。
自分が美しいと思うものを探究し続け、
光と調和した陶磁器を制作しています
日本六古窯の1つ、「瀬戸焼」の産地である愛知県瀬戸市。この地で新進気鋭の陶芸家として活動する樽田裕史さんは、美しい採光が魅力的な陶磁器を作っています。ベースとなるのは、磁器土の澄んだ白と、独自開発の青白磁釉で表現される柔らかな青とが醸す端正な佇まい。そこに「蛍手」という技法を用いることで、光と影の情感豊かな作風となっています。器に刻まれた彫りからこぼれる光を纏う器は、凛としてなお幻想的な、澄み渡るような美しさ。また樽田さんの器は、季節や時間帯で移ろいゆく光とともにその表情も変わります。使うたびに新たな趣を楽しめるのも、樽田さんの器の醍醐味なのです。
光を纏った陶磁器を生み出す
中国がルーツに持つ技法「蛍手」とは?
樽田さんのオリジナリティの要でもある「蛍手」とは、成形後にしばらく置いた生乾き状態の生地の器面をくり貫き、透かし彫りを施す技法です。さらに、その透かし彫りを透明な釉薬で埋めてから焼成することで、彫りの部分を光が透過し、まるでガラスのような風合いが生まれます。そのルーツを明時代の中国に遡る、歴史ある技法です。生地と彫りの厚みのバランス自体も難しく、生地に穴を開けることで割れやすくなったり、釉薬が埋まり切らなかったりすることもあり、実際に採用している作家は多くありません。しかし、樽田さんは「人がやっていないことをやりたい」という思いから果敢にチャレンジ。自然から得たイメージと掛け合わせ、自身の作風として昇華しています。
雲間から差す光や、扉の隙間からこぼれる光。
いつか見た光景を、“線”の「蛍手」で表現しました
「蛍手」は小さな穴を開けていく表現が一般的ですが、樽田さんは”線”という独自の方向性を見出しました。インスパイアされたのは、雲間から差す光や、扉を開けたときに隙間からこぼれる光だそうです。また、種類ごとに器の形は揃えつつも、フリーハンドによる彫りは、その時のリズムなども影響します。そのため、全く同じものはこの世に2つとありません。今、この瞬間だからこそ生み出せる「曖昧さ」や「自分らしさ」、「人間らしさ」を大切にしていると話す樽田さん。日々の暮らしの中で丁寧に感じ取ってきた美的感覚を落とし込んだ器は、自然の光を味方につけて、より一層輝きを増します。
陶芸家
樽田裕史
1日の時間帯や、1年を通じて移ろいゆく季節で、陽の光はそれぞれに異なる顔を見せてくれます。休日の朝にゆっくりと。夜、みんなで集まって賑やかに。日々の営みの中で訪れる様々な場面に、私の器があるとうれしいです。
樽田裕史の商品
光纏ウ 湯呑
美しい採光と凛とした佇まいで多くの人々を魅了する陶磁器を生み出す陶芸家・樽田裕史さん。線状の透かし彫りを透明釉で埋めて焼成する技法「蛍手」を用いて、まるで光を纏ったような印象の湯呑を作りました。
ゆらぎ 汲み出し
樽田裕史さんは、美しい採光が魅力的な陶磁器を作る愛知県瀬戸市の陶芸家。線状に入れた透かし彫りと透明釉で表現する「蛍手」を得意とする作家が、癒やし効果のある「1/fゆらぎ」をモチーフに作る汲出です。
ゆらぎ ぐい呑
陶芸家・樽田裕史さんは、線状の透かし彫りと透明釉で表現する「蛍手」を用いた独自の作風で多くの人を魅了する気鋭の作家です。こちらは、「1/fゆらぎ」をモチーフに心地よい姿を追求して作ったぐい呑み。
ゆらぎ 片口
線状の透かし彫りと透明釉で表現する「蛍手」という技法を用いた独自の作風が魅力の陶芸家・樽田裕史さん。焼き物の街、愛知県瀬戸市で作陶を行う気鋭の作家が、「1/fゆらぎ」をモチーフに作る片口がこちらです。
光芒 ご飯茶碗
愛知県瀬戸市の陶芸家・樽田裕史さんは、線状に入れた透かし彫りと透明釉で表現する「蛍手」を用いた陶磁器を作っています。光と影が調和した独自の作風を打ち出す気鋭の作家が作る、美しいご飯茶碗がこちら。