【兵庫県たつの市】
末廣醤油
淡口醤油の主産地である兵庫県たつの市で、天然醸造の淡口醤油を手掛ける蔵元。
淡口醤油の新しい用途の開発にも積極的で、白身の刺身などにかけて使って素材そのものを楽しむための淡口醤油も人気です。
淡口醤油の産地の中で天然醸造を守り続ける蔵元
兵庫県たつの市は海運で大阪に輸送できる地の利を活かして淡口醤油の産地として発展しました。また、街の中央を流れる揖保川は、夏には多くの鮎が上る清流として知られていますが、軟水で含まれている鉄分が少ないことから、醤油の色が濃くならずに淡口醤油に適しているといわれています。そのような地域の中で、末廣醤油の創業は明治12年(1879年)。瀬戸内特有の穏やかな気候と播磨平野の緑豊かな自然の中、国産大豆と小麦を原料に伝統的な製法で天然醸造の醤油造りを続けています。
色を淡く保つための工夫を積み重ねて
天然醸造の淡口醤油というのが末廣醤油の特徴で、業界内ではめずらしい存在です。四季の温度変化で熟成をさせる天然醸造は時間を必要とするのですが、諸味が発酵と熟成を重ねる中で、時間の経過は醤油の色を濃くする要因となります。そのため、淡口醤油をつくる場合は敬遠されることが多いのですが、末廣醤油ではそこに挑み続けています。諸味の管理方法や火入れの仕方など、すべての工程で色を淡く保つための工夫を積み重ねています。蔵に住み着く蔵付酵母による天然醸造を大切にするため、日々醤油と向き合っています。
煮物など調理に使われることの多い淡口醤油をかけての用途に
淡口醤油の消費量は減少傾向で、地域によっては淡口醤油に馴染みの少ない土地もあります。もっと淡口醤油を使ってもらうにはどうしたらよいかと考えた末廣さんは、料理店である光景を目にします。シンプルに塩をかけて提供される料理に、はっと気づきがあったそうです。塩味が強くてうま味は少ない淡口醤油の特徴は、素材の味を一番感じていただける醤油になれるのではないかと。そして、新商品の開発に着手。淡口醤油の特徴でもあるしょっぱさを米麹を加えてまろやかにし、白身魚などにかけて使う淡口醤油ができあがりました。
末廣醤油
末廣卓也
"私たちのような地域の小規模メーカーはどうするべきか考えた時期もありました。大手のミニチュアになるのではなくて、より手間をかけて美味しいものをつくっていきたいと思ったのです。"