【愛知県武豊町】
丸又商店
愛知県の知多半島に位置する武豊町で200年近く溜を造り続ける丸又商店。近年はグルテンフリー醤油の蔵元としても注目されています。
昔ながらの木桶仕込みを守りながら、本当に喜ばれる溜醤油を求めて試行錯誤しています。
溜醤油の産地で70本の木桶で仕込む
豆味噌文化のある東海地区では、原料を同じである溜醤油文化もあります。愛知県の知多半島に位置する武豊町は、溜醤油の蔵元が軒を連ね溜醤油の産地といわれていて、1829年創業の丸又商店は大豆100%で木桶による造りを頑なに守っています。現在、約70本の木桶が存在し、最も古いもので明治44年に作られたもの。武豊町の中でも一番古いとされています。木桶を手で触れるとよくわかります。夏も暑くなく、冬も冷たくない。とても優しい肌さわり。長年桶に住み着いた菌が存在し、伝統の味を引き継ぐ重要な役割を果たしています。
時間がかかり搾れる量も少ないですが、うま味成分たっぷりが特徴です。
溜醤油は一般的な濃口醤油とは製法が異なります。使用する塩水の量が濃口醤油の半分以下になるものもあり、見た目には味噌に近い状態です。水分が少なく攪拌することができないため、木桶の上には石が積まれ、筒の中に溜まった液体を柄杓ですくって石の上からかける「汲みかけ」作業を2年~3年程度繰り返します。「発酵は温度をコントロールすることで効率的に進むかもしれませんが、熟成は時間をかけなくてはいけない。どんなに人類の技術が進歩しても自然の熟成を早めることは出来ないと思うんです」と出口さんは話します。
オーガニックでグルテンフリーな溜醤油
丸又の看板商品である「オーガニックたまり」「尾張のたまり」、そして「丸大豆たまり」は、麦類(小麦、大麦)を一切使用せずにつくられています。工場内での小麦の使用がないので、小麦アレルギー、グルテンアレルギーの方からも支持されています。また、オーガニック原料の溜醤油を手掛けて30年。日本にオーガニックの認定団体のない時代から取り組みを続け、今では日本・ヨーロッパ・アメリカのトリプル認定大豆を使用しています。これらの取り組みが海外からも評価され、多くの溜醤油が海を渡っています。
丸又商店
出口智康
"高価だから日常使いに出来ないものは造りたくないですね。醤油は日々の生活になくてはならないものだと思うので、当たり前の原料を使って、手間ひまかけてつくること。そして、美味しいことですね。いたって単純ですよね。"