【埼玉県坂戸市】
弓削多醤油
「醤油は食品なので安心して口に入れられるものでなくてはいけない、醤油は調味料なのでうまくなければ意味がない」と、
原材料と木桶仕込みにこだわる醤油蔵。同蔵が運営する「醤遊王国」も気軽に工場見学ができると人気。
原点である醤油を見つめなおし、見学施設の「醤遊王国」も賑わいをみせる
創業は大正12年。過去にはジュースなどの販売を含めた問屋業の割合が多い時期もあったそうですが、4代目として家業を引き継ぐことになった弓削多洋一さんは、そもそもの原点である醤油に立ち返る決意をします。国産の原料を使用した木桶仕込み醤油に真剣に向き合い、醤油をもっと身近に気軽に楽しく経験できるようにと「醤遊王国」を2006年にオープン。顧客を蔵の中に迎え入れるスタイルは、当時の醤油業界では珍しく、同業者も見学に訪れたそうです。工場見学はもちろん、直営店や飲食スペースもあり、平日も含めて賑わいをみせています。
よい麹をつくるには大豆の蒸しが重要
醤油づくりは麹づくりが大切だといわれますが、弓削多さんは「よい麹をつくるには大豆の蒸しがとても重要」と話します。自らが社長業と共に杜氏業もこなし、大豆蒸しから麹づくりの最前線で陣頭指揮を執っています。海外出張があるときも、朝4時から大豆を蒸し、そのままスーツに着替えて空港に向かうこともあるそうです。このようにしてつくられた麹は塩水と混ぜて諸味となり、発酵と熟成の時を過ごします。商品の種類や特性にあわせて木桶とタンクを使い分け、最適な品質になるように常に醤油と向き合う姿勢が印象的です。
弓削多醤油の前掛けをしているラーメン店もよく見かけます
商品ラインナップも消費者のニーズに合わせながら、常に新しい挑戦を続けています。「吟醸純生しょうゆ」は搾ったそのままで、酵母菌や乳酸菌が生きたままの醤油。特別な充填をすることで実現し、冷蔵管理が必要なため販路は限られますが、蔵見学のお土産にも人気を集めています。また、有機JAS認証も得ている「有機醤油」や、地元埼玉県産の大豆・小麦を使った「木桶仕込み醤油」など、原材料と木桶仕込みにこだわる姿勢や醤油そのものの味わいにファンが多く、弓削多醤油の前掛けをしているラーメン店も多く見かけます。
弓削多洋一
「醤遊王国」は木桶が並ぶ蔵の中を、予約不要で工場見学していただけます。搾りたての醤油での卵かけごはんや醤油ソフトクリームも人気です。ぜひお気軽にお立ち寄りください。