【群馬県安中市】
有田屋
天保3年(1832年)創業。中山道の宿場町として栄え、山紫水明の郷として知られる上州安中の地で国産大豆・小麦を原料に天然醸造。
濃口醤油は二年熟成で再仕込み醤油は三年熟成が看板商品です。
天保3年創業歴史がかおる醤油蔵
城下町安中でかつては安中藩の御用商人として有田屋は天保3年(1832年)より180余年の永きにわたり、昔ながらの「天然醸造」にこだわりつつ、新しい試みも繰り返しながら醤油を作り続けてきました。また、有田屋の湯浅一族は、本業の醸造業だけでなく、詩人や画家、町長や県会議員の輩出や新島学園の創立に関わるなど、明治、大正、昭和の三代に亘って、日本の教育、社会、文化に貢献したことでも知られています。
醤油と共に、土地のことも知ってもらう場所に。
醤油造りにおいての主役は人間ではなく、「人間が醤油造りに関わるのは、その一つのプロセスでしかない。」というのが有田屋の哲学。長い歴史を持っている醤油蔵には、同じ年月住み続けている麹菌がいます。天井や壁に張り付いて醤油の醸造に影響し、その蔵の個性を形作っていて、建物の外壁の黒い部分などはまさにその影響です。2009年には事務所スペースを店舗に改装。旧宿場ということもあり観光客の多い土地柄です。「今まではせっかくお客様が訪ねて来てくださっても、ゆっくりと見ていただけなかったので、この土地を訪れた方がふらっと寄れて、地域の情報発信基地のようにしていけえればと考えているんですよ!」と。
潔いほどに絞り込んだ看板商品
天然醸造のもろみを2年じっくり寝かせた「丸大豆仕込天然醸造」、さらにそれに糀を加え1年以上発酵熟成させた「さいしこみしょうゆ」が看板商品。これら醤油の商品数の絞り込み方は潔いほどです。他にも醤油加工品としての人気商品の一つが「バタめししょうゆ」。その名の通りアツアツのごはんにバターとこの醤油をかけてというわけです。有田屋の家系ではバターしょうゆごはんが好まれていたそうで、自家製レシピを商品化したもの。「バターは動物系の素材なので、魚介系の出汁は使いたくないんです」と用途を絞り込んだが故に人気を博した例のようにも感じます。
有田屋 社長
湯浅康毅
ちゃんとしたものを造り続けたいのです。それは、人の手がかかり、人の都合で造っていないものだと思っています。だって、自然じゃないって、不自然ってことですからね。