【愛知県武豊町】
中定商店
明治12年の創業で味噌、たまり醤油の醸造一筋。
蔵の中は伝統的な木桶が並び、国産大豆と食塩のみでつくる製法のためグルテンフリー醤油としても注目され、
3年を超える熟成期間と濃厚なうま味にプロの料理人からの支持も強いです。
溜醤油の産地である愛知県の武豊町
愛知県の知多半島のほぼ中央部にある武豊町は温暖な気候と良質な水に恵まれています。明治19年に鉄道の武豊線、明治32年に外国貿易港として武豊港が開港したことで製品や原材料の輸送が容易になり、味噌やたまりの一大生産地となりました。溜醤油の蔵元が集まるエリアで、中定商店には伝統的な木桶が並び、溜醤油製法の特徴でもある重石が積まれている光景が広がります。溜醤油は仕込み塩水量が少なくポンプなどを使って移動させることができないため、2メートル以上の高さのある桶からスコップですくい出します。この作業、なかなかの重労働です。
くみかけを三年間繰り返してやっとできあがります
溜醤油の原材料は大豆と食塩のみです。味噌玉に麹菌を繁殖させる環境は湿度70%程度で室温は30度。4日程かけて出来上がる麹も桶に換算して半分ほどなので、この作業を何度も繰り返します。桶には筒が差してあって柄杓で液体をすくい上げる「くみかけ」の作業を夏場は毎日、冬場は週に1回程度。すくってはかけての繰り返しを行います。「醤油づくりって生き物を相手にしていることを実感します。夏場にはカビから身を守るかのように溜の液面が上がってくるんです。それが冬場になると石の下にさぁーっと下がっていく。なんとも不思議な光景です」とご主人の中川安憲さんは話します。
豆味噌と溜醤油が看板商品です
中定商店の看板商品は豆味噌と溜醤油。原材料は大豆と食塩のみで製法も似ており。小麦を使っていないためグルテンフリーの味噌、醤油とよばれたりもします。温度や添加物を加えない天然醸造。三年間と熟成期間が長いため、見た目は濃い色をしていますがうま味はたっぷりなことが特徴です。豆味噌は加熱殺菌していない生のみそなので酵素や乳酸菌が活きていて、溜醤油は焼けば艶やかな照りをあたえ、つけかけすれば濃厚な旨みが口にひろがります。
中川安憲
美味しいものをつくりたい。まじめな商売をしたいと思うのですが、やっぱり味噌や溜づくりが好きなんです。100年以上続けてきたことなので、意地なのかもしれませんが出来る限りこのスタイルを守ってやりたいと思います。