【石川県珠洲市】
奥能登塩田村
塩田を守ることは、この地の里山を守ること。
江戸時代から続く揚浜式塩田の聖地・石川県珠洲市で、職人たちの手によって脈々と受け継がれる塩づくりの技と想いが結晶した塩
揚浜式塩田を守ることは、この地に残る豊かな里山里海を守ること
効率が良い製塩方法が多数存在する今、敢えて古くからの伝統製法である揚浜式塩田法を代々伝承しているのは、伝統文化を後世に繋げるという意味以外に、美しい里山里海を守るためといいます。豊かな海は豊かな山があってこそ。使用する薪を能登の里山のものだけにすることで、里山の環境保全に役立てています。奥能登塩田村は、無形文化財に指定された角花家の初代と周辺の有志の「伝統文化と里山里海を守る」という強い意志によって2006年に設立された、この地を代表する製塩観光施設です。製塩見学、製塩体験もできるほか、生産した塩の販売も行っています。
国の重要無形文化材に認定された、日本で唯一途絶えることなく江戸時代から受け継がれてきた揚浜式塩田製法。
1971年に施行された第4次塩業整備事業によって日本各地の塩田が全て廃業に追い込まれる中、その文化的価値から唯一存続を許され、2008年には代々続く角花家の塩田が国の無形重要文化財にも指定されています。揚浜式塩田製法は、現存する塩づくりの中では最も過酷と言えます。木桶を両肩に担いでゴツゴツした岩場を降りて海水を汲み、何往復もして海水が溜まったら、砂で作った塩田に人力で散布します。太陽と風の力で結晶化した塩のついた砂を人力で集め、そこに海水をかけて濃縮海水を得ます。釜屋に運んで薪で焚いた平釜で煮詰めること数十時間、そうしてやっと塩が得られるのです。
揚浜式塩田は過酷を極める作業の連続。
揚浜式塩田での塩づくりは過酷を極めます。そもそも海水の入った桶を持ち上げることすら一苦労で、それを塩田に均一に撒くには職人技が必要になります。砂がついた塩は重く、炎天下にそれをかき集め終わる頃には全身汗だくになります。釜に入れて釜で炊くのも、火を絶やすことができないので夜を通しての作業となります。釜屋の中はサウナ状態となり、またしても全身汗まみれです。全ての工程を合わせたら1週間以上、こうした過酷な作業を経て、やっと塩ができあがります。職人さんたちの想いと技術には頭が下がるばかり。こうしてできあがった塩は、ほどよいしょっぱさとこってりとしたうまみを感じられる優しい味わいです。
奥能登塩田村 浜士
登谷良一
釜屋で一昼夜焚き続ける本焚きは、夏場60度以上にもなる中、一時も離れることが出来ません。火加減が塩の味を決める浜士の腕の見せ所です。重労働で過酷な塩づくりを続けるのは、ただ「美味しい塩」の一言をもらうためです。何も足さない、何も引かない手作りで焚き上げる塩は、浜士の矜持の結晶です。
奥能登塩田村の商品
tabishio select 日本塩めぐり
ソルトコーディネーター・青山志穂さんは、科学的根拠やテイスティングなどに基づき、塩の特性や活用法を研究しています。全国の製塩所を巡り歩いた青山さんが、日本の北から南まで、国内産の塩4種を厳選しました。