【沖縄県糸満市】
株式会社青い海
会社の入り口に掲げられた「塩業興国」と書かれた看板。専売制度の下にありながら、日本の昔ながらの塩作りを復活させようと奮闘した歴史が表れています。
沖縄県最大の製塩メーカーとなった今でも、その想いは変わりません。
地域に伝わる伝統的な塩づくりにこだわる
常夏のイメージのある沖縄県ですが、実は冬はほとんど曇天で、さらに年間を通じて降雨量が多く湿度も高く、さらに台風の襲来も多いため、塩田づくりには向いていない地域です。そのため、伝統的に釜で海水を煮詰める製法が採用されてきました。世界に誇る美しい海と共に生き、 沖縄に寄り添いながら長い歴史に培われた塩づくりを継承することをモットーに創業した同社では、今でも職人の手による平釜炊きを採用しています。塩は誰にでも必要なものであり、できるだけ日常的に多くの人に使ってもらえるようにと、コスト削減や効率化に務め、高品質でも手に入りやすい価格帯を実現し、県民始め多くの消費者に愛されています。
昔ながらの塩を復活させるための道のり
1973年の専売制度によって失われた塩づくりの火を絶やすまいと、有志が集まって会社の前身となる「沖縄の青い海とマース(塩)を守る会」を設立し、政府に対して働きかけを行いました。当時は国産海水からの製塩は政府認可の7社以外では認められなかったため、「海外産の塩を原料にした塩(再製加工塩)」の製造認可を得て、「シママース(沖縄の方言で「島の塩」という意味)」の製造を開始。1997年になり専売制度が終焉を迎えたのち、沖縄県内初の製塩メーカーとして、念願の沖縄県産海水100%の製塩をスタートしました。沖縄県糸満市沖合の海水を逆浸透膜で濃縮し、平釜で煮詰めて結晶化させています。(シママースは燃料をあまり使わずに製造できるエコ製法でもあり、現在も継続して生産しています)
ロマンと経済と安全性をバランス良く両立した「ちょうどいい塩」
塩に限りませんが、生産量が増えてくると効率化を図りたくなるもの。塩の場合、生産量を増やそうとすると熱効率のよい密封式の立釜を使うことが多いのですが、株式会社青い海では、生産量沖縄ナンバー1となった今でも、結晶の形や味を理想のものに仕上げるために、昔ながらの平釜炊きを選択。今では25mプールかと見間違えるほどの大きい釜を複数台使用しています。昔ながらの塩作りを今に繋げながらも、安全性や環境面に対する配慮も万全で、高い濾過機能を持つ膜の使用や使用済燃料の再利用などによる化石燃料使用量の削減などを行っています。高品質の塩を日常遣いしやすい価格でしながら、ロマンと経済と安全性と環境配慮を同時に達成することは、なかなかできることではありません。
株式会社青い海
生産統括部のみなさま
徹底した品質管理はもちろんですが、私たちは沖縄の海の恩恵を受けて製塩事業を行っているので、全国初のバイオガスを活用した発電と廃熱活用事業にも取り組むなど、環境への配慮にも力を入れています。地域社会の一員として皆様の「おいしい」の起点になれるよう社員一丸となって事業に取り組んでいます。
株式会社青い海の商品
tabishio select きほんのあじわい
青山志穂さんは、数多ある塩の特性や生かし方を研究しているソルトコーディネーターです。そんな塩のプロが“しょっぱい”の奥にある甘みや旨みなどの複雑な味わいに着目して4種類の海塩を選び、セットにしました。