【石川県珠洲市】
株式会社Ante
江戸時代から続く伝統的製塩方法である揚浜式塩田が継承される地、石川県珠洲市。
高齢化が進む塩作りを懸念し、伝統文化の継承と里山里海を守るため、若手塩職人の育成と新商品開発に励む会社があります。
この美しい景色と伝統文化を後世に残していきたい
石川県能登半島の珠洲市は、江戸時代から約500年以上も受け継がれている揚げ浜式製塩法が受け継がれる名産地です。しかし、能登においても少子高齢化や人口流出が著しく、過疎化が急速に進んでいます。後継者不足が懸念されている中、「この伝統製法と塩田がある景観を後世に残していきたい」という強い思いを持って、2017年に旧塩田を復活させました。人と自然の力を融合させて行われるこの伝統製法は、とても手間暇がかかる上、ほぼすべての作業が人力で行われるため、非常に重労働です。1年のうち天候のよい数カ月しか製塩ができないこともあり、生産量も多くはありません。それでもこの製塩方法を続けるのは、この製塩法だからこそ、心に響くような美味しい塩が誕生すると感じているからだそうです。
森を守り、海を守り、人と地球に優しいSDGsな塩作りを目指す
今や残るのはたった数軒だけとなってしまいましたが、この地域で塩作りが生業として繁栄していた頃、約100もの製塩業者が軒を連ね、この一帯は「塩街道」と呼ばれていました。美しい里山里海とそこに連なる塩田の風景こそ、珠洲市を象徴する景勝であり、それは今も変わりません。 塩作りの源でもある美しく豊かな海は、綺麗な森があってこそ。そこで、森の整備に少しでも貢献するため、釜炊きを行う薪には積極的に間伐材を使用したり、Co2排出量を減らす取り組みを行うなど、環境保全を意識した製塩を行っています。また、世界中で問題となっている海洋プラスチック汚染対策も実施しており、海水を非常に目の細かい特殊なフィルター装置に通して、マイクロプラスチックをはじめとするあらゆる固形物を除去するなど、安全衛生管理も徹底しています。
伝統を守りながら、挑戦を続ける
どのジャンルの伝統文化でも、その歴史が長ければ長いほど、新しいことにチャレンジするハードルが上がる傾向があります。塩も例外ではありません。しかし、「もっと多くの人に揚げ浜式塩田製法の塩の、そして能登の魅力を知ってほしい」という想いで、様々な商品開発や事業に取り組んでいます。品質はもちろんのこと、デザイン性にも優れた塩菓子類やしおサイダーなどのドリンク類の開発を積極的に行うほか、珠洲市を盛り上げようと、市内で塩をテーマにしたスタイリッシュなカフェも運営しています。塩そのものにはあまり興味がなくても、菓子類であれば高い関心を示す人も多く、塩やこの地の魅力を多くの人に伝える役割を担っていると感じます。
株式会社Ante 浜士
水上憲雅
昔ながらの塩作りは大変ですが、手間暇をかけて作られる分、本当に美味しい塩ができると自負しています。伝統を引き継ぐだけでなく、マイクロプラスチックの除去など、時代に合わせたやり方も大切です。美味しいだけではなく、安心安全な塩を多くの方々にお届けし、少しでも笑顔になっていただけたら嬉しいです。
株式会社Anteの商品
tabishio select しおのほうせきばこ
塩の特性を官能検査や科学的根拠に基づいて分析し、その最適な活用方法を研究しているソルトコーディネーター・青山志穂さんが、塩の形状に着目して厳選した4種の塩のセット。塩が織りなす多彩な食感を楽しめます。