奥能登塩田村

【石川県珠洲市】

中前製塩

揚浜式塩田の聖地・石川県珠洲市。
70歳を超える塩職人・中前さんは、伝統製法を守りながらも新しい取り組みにも意欲的。
地元民にも、有名パティシエにも愛されている塩を生み出しています。

小さい頃に食べた揚浜式塩田の塩むすびの味が忘れられなくて

小さい頃に食べた揚浜式塩田の塩むすびの味が忘れられなくて

中前氏が小さい頃には、今のようにお菓子が潤沢にある時代ではありませんでした。当時のおやつの定番は揚浜式塩田の塩を使った「塩おにぎり」だったと言います。小学校6年生の時には、学校の校庭に揚浜式塩田ができて、塩作り体験があったと言います。大人になった中前氏は建設業に従事していましたが、50歳を迎える頃に塩の専売制度が終焉となり、塩作りが自由化。その時に思いだしたのが、あの時食べていた塩おにぎりの味でした。ならば塩に携わってみようと、本業の傍ら、朝晩と同エリアにある奥能登塩田村で塩づくりの手伝いを始めました。同時に、保有していた土地に本業の技術を活かして塩田と釜屋を自ら開墾。そして2001年に本格的に製塩をスタートしました。

手間がかかるけど、大地の上で天日にさらすというのがなにより重要

手間がかかるけど、大地の上で天日にさらすというのがなにより重要

揚浜式塩田は、製塩の中では最も労働力がかかる製塩方法であり、しかも屋外での作業のため天候に左右されます。年間のうち100日製塩ができたらよいと言われているほどで、そのため生産量は多くありません。それでもこの製塩方法にこだわるのは、海水を太陽と風にさらすこの製法でないとでない味があるから。そして、約500年前から能登の経済を支えてきた揚浜式塩田の歴史は、すなわち能登の歴史であり、多くの人に何代も前の塩づくりがあって、今自分たちが生活できているということを伝える役割があるからだと言います。

何一つ妥協せず、受け継いだ製法を守りながら実直に励む

アイデア満載で、伝統的製塩方法をさらに進化させた塩づくり

他の伝統作業と同様に、製塩に従事する職人の高齢化が進んでいます。中前氏も齢70歳を迎え、重労働であるこの製法をこのままの形でいつまで続けることができるのかと思ったそうです。そこで独自に編み出したのが、天日で濃縮するという重要な工程はそのままに、濃縮の効率をよくする方法でした。通常は、砂で構成されている塩田に海水を撒き、砂にくっついて結晶した塩をかき集め、そこに海水をかけ流して濃縮塩水を得ますが、中前氏は砂の代わりに小石を敷き詰め、塩のついた小石に海水をかけて得た濃縮海水が自動的に水路を通って貯水タンクに貯まるように工夫しています。この方法なら省力化が計れるので、高齢になっても継続することができるのです。

中前賢一

代表

中前賢一

自分がおいしいと思っている塩を作っているけど、塩は、1人1人味の感じ方が違います。ぜひ、いろんな塩を味比べしながら試してみて欲しい。その上で、うちのがおいしいと思ってくれたら嬉しいです。

中前製塩の商品

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