【石川県珠洲市】
有限会社新海塩産業
揚浜式塩田の聖地と呼ばれる能登半島で、敢えて流下式塩田での塩づくりを行う同社。
そこには、「地域全体の活性化のため」という熱い想いがありました。初代から2代目にもその想いが引き継がれています。
「地域全体のために」という視点で選んだ製法
製塩所が位置する能登半島の伝統的な製法は「揚浜式塩田」です。多くの生産者がこの伝統的製法で塩づくりを行っていますが、天候に左右されやすく、春から夏の限られた時期にしか製塩ができないなど、年間を通じての安定供給が難しいという側面もあります。年間を通じて奥能登の塩を提供することでこの地域の発展に貢献できると考え、同社では敢えて、室内に設置したすだれに海水をかけ流すことでの海水を濃縮する「流下式塩田製法」を採用しています。こうすることで、季節や天候に関わらず1年を通して製塩することができ、奥能登の海水塩の味を年間通じてお届けできるというわけです。
すだれを活用した進化版枝条架式塩田
流下式塩田とは、竹の枝を組んだタワー「枝条式塩田」と、ゆるやかな傾斜の坂を組み合わせて、そこに海水を循環させて濃縮する製法です。しかし時代の流れとともに、良質な竹の枝をそのままの形で入手するのはなかなか難しくなってきました。そこで目を付けたのが竹で作られたすだれ。先代のアイデアで、すだれを活用して濃縮する方法が採用されました。もっと効率的な製塩方法はありますが、「自然に逆らわずに作った塩は、体によくておいしい」という考えの下、この製法に行き着いたそうです。濃縮した海水は、レトロな雰囲気のある丸い平釜で煮詰めて結晶化。いつ収穫するかで塩の味が変わるため、職人の勘所でもあります。
職人技で生み出される黒い塩
「珠洲の竹炭塩」は、同社で生産した「珠洲の塩」を3年物の青竹に詰め込み、炭焼き窯で3日3晩炭焼きにすることでできあがる、黒く色づいた炭入りの塩です。塩の結晶の中に竹炭が溶け込むことで、しょっぱさがまろやかでうまみののある味わいに仕上がります。できあがった竹炭塩は、青竹の筒の形そのままの棒状になっていますが、取り出す際に崩れてしまうようだと中まで均一に炭焼きされていないため、職人の手によって、竹に詰める時と炭焼きの時に全体に熱を通すことに神経を注いでいます。完璧な仕上がりで綺麗な竹の形で取り出せた時には、良い仕事ができたと喜びもひとしおだそうです。
代表取締役社長
紅谷光昭
日本だけでなく世界中に能登の塩の良さを感じてもらいたい。そのためにも世界基準の品質管理の徹底と塩づくりにより真摯に向き合っていきます。塩は人間、動物の生命、生活には無くてはならないものだからこそ、こだわりを持ち続けていきます。
有限会社新海塩産業の商品
tabishio select ぎゅうにくのしお
青山志穂さんは、科学的根拠やテイスティングなどに基づいて塩を分析し、最適な使い方を研究するソルトコーディネーターです。こちらは、牛肉が含む鉄分に着目し、牛肉の味わいを引き出す4つの塩を厳選したセット。