ブレのない味わいを実現するための細やかな努力
同社では、マイクロプラスティック対策などの安全衛生面にも配慮をした塩づくりを行っています。対馬の美しい海水を汲み上げ、逆浸透膜を使って海水から真水と不純物を取り除き、約6~6.5%程度の濃縮海水を作ります。濃縮海水を平釜で煮詰めて結晶化させたら完成です。シンプルな工程ですが、熟練の塩職人でも塩の完成を見極めるタイミングはなかなか難しいもの。同社ではそれを数値化することで、年間を通じてブレのない美味しい塩づくりを実現しました。さらに脱水工程にも工夫をして、塩の味の決め手となるにがり分を取り除きすぎないよう微調整を行うなど、細部に工夫を凝らした塩づくりを行っています。
熱い想いが切り開いた自社工場での塩の生産
同社の塩事業は輸入塩の販売からスタートしましたが、心の中には「国内産の塩も取り扱いたい」という想いがありました。専売法が撤廃された後、日本全国で販売され始めた塩を買い集めてはひたすらテイスティングを行い、国内で塩の委託製造をしてくれる会社を探し始めました。塩を選ぶ基準となるテイスティングは、社長の白木さんと責任者の杉原さんの2人だけ。数ある塩から2人が選んだのが「対馬の塩」だったそうです。さっそく対馬の製塩工場を訪れましたが、残念ながら委託を頼めるような規模では無く、一旦は諦めました。しかし、現地の製塩工場の権藤兄弟から「株式会社白松として対馬工場を開いてくれ。自分たちも社員として協力するから一緒にやりたい」との申し出があり、思い切って自社工場を対馬に開設するに至りました。
製塩業界でいち早くカーボンニュートラルへ取り組む
今でこそ「カーボンニュートラル」は日常的に耳にするようになりましたが、同社では2010年12月に、製塩企業としてはいち早く環境配慮のためにバイオマスチップボイラーを導入しました。しかしながら、当時のお客様や小売店のバイヤーからは「環境に配慮したバイオマスチップボイラーを導入しても、塩の味がそれで変わるわけではないでしょう」と、その企業努力はほとんど評価されるものではありませんでした。そんな逆境にも挫けずカーボンニュートラルへの取り組みを続けてきた結果、ここ1~2年になってやっとその取り組みが理解されつつあります。
塩職人
権藤兄弟
私たちは、長崎県の離島である対馬の竹敷で塩づくりをしています。対馬は、きれいな海に囲まれ、緑が豊かで森に覆われた美しい島です。塩工房では毎日塩職人が丹精込めておいしい塩づくりに励んでいます。塩ひとつで食事やお酒は楽しくなります。ぜひ一度遊びに来てください。
株式会社白松の商品
tabishio select ごはんのしお
ソルトコーディネーター・青山志穂さんは、科学的根拠や官能検査によって塩をデータベース化し、最適な使い方を研究しています。後進の育成や塩専門店も営む青山さんが厳選した、お米をよりおいしく食べるための塩。