知っているようで知らない、
日本茶の基礎知識

NPO法人日本茶インストラクター協会 専務理事 奥村静二写真:𠮷田浩樹

知っているようで知らない日本茶の基礎知識、そしてその魅力を日本茶の普及活動の推進を行うNPO法人日本茶インストラクター協会専務理事の奥村静二さんにお伺いしました。

新茶とは?

よく言う新茶とは、その年、最初に採れたお茶のこと。お茶というものは、秋からずっと養分を蓄えていき、3月の終わりから5月の初めくらいに、この養分をずっと蓄えてきたところで摘むので、新茶は格別にうまさが凝縮されているお茶ということになります。

新茶らしく感じてもらうために、お茶に真剣に向き合っている作り手の方はこの新茶の時期だけ作り方をちょっと変えています。たとえば、乾燥。1年間保たせるための乾燥具合ではなく、新茶らしく新鮮さを感じさせる乾燥具合にして、フレッシュさを残すための工夫をしていたりします。

格別にうまさや季節感が凝縮されている「新茶」。では、他のシーズンのお茶はなんと呼ぶのか?
新茶(一番茶)を摘んだあと、二番茶といってまた次の芽が出てきます。またその次は、三番茶、あるいは夏茶と呼んだりします。

お茶の種類

次にお茶の種類についてですが、日本で一番飲まれているお茶が「煎茶」と言われています。お茶を摘んで、酸化しないように、すぐ処理をしているのが「緑茶』と言われるもの。発酵やほうじていくタイミングで変わっていくのですが、色が変わった「ほうじ茶」も、煎茶を焙じていくので「緑茶』の一部で、完全に発酵し、赤くなったものは「紅茶』、途中で発酵を止めると「烏龍茶』になります。同じ茶の木から、紅茶もウーロン茶も緑茶もつくれるということですね。また、「後発酵茶」と言われる茶の葉を摘採後、酸化発酵が生じないようにすぐに加熱して、酵素を失活させ、微生物により発酵させてるお茶の種類もあります。

お茶の種類

お茶をおいしくいただく方法は?

正しいお茶の淹れ方としては、お湯の温度、お湯の量、お茶の量、抽出時間という4つのポイントがあります。この4つを少しずつ変えることで、お茶の味も変化します。目安として、自分が普段、淹れているお茶がどういうふうに淹れたものかを覚えておいていただけるとよいかと思います。この4つのポイントのうち、ひとつを変えるだけで、同じお茶でも随分、味が変わってきます。

お茶の美味しい淹れ方

お湯の温度は、80度程度を基準として、高温であればカフェインやカテキンが抽出しやすくなります。それより低い温度になると、カフェインやカテキンは抽出されにくくなり、逆にテアニンという成分が感じやすくなるため、旨味をより味わうことができます。香りは温度が高いほうが出やすいため、紅茶などは高温が適切と言えますね。一方、玉露を高い温度のお湯で淹れると、苦味や渋みを感じやすくなります。

お茶を淹れる際は、茶葉の大きさに注目していただきたいです。お茶の葉の形状として、形がちゃんとあるか、それとも細かく粉っぽくなっているかによって、抽出時間も変わってきます。水出しのお茶を淹れるときは細かいほうが出やすいですね。お茶は揉んでいるときに茶葉に傷がつき、そこからお湯を吸って成分や味が出てくるので、細かい形状のものは葉っぱが壊れているわけですから、その断面からお湯が入りやすくなり、成分や味がより出やくなるわけです。お茶の種類によって抽出時間は変わるので、パッケージなどに書いてある淹れ方を確認してもらえるとよいかと思います。それから、お茶碗や急須をお湯で温めるのもコツですね。

いろいろな淹れ方を試していただいて、ご自分の好みを見つけてもらえると、よりお茶を楽しんでいただけるのではないかと思います。それから、急須のお茶は最後の一滴まで絞りきってください。絞りきらないと、2煎目、お湯を入れて2回目のお茶を飲むときに、残っているお湯に苦み、渋味が出てしまっているので、最後の一滴まで絞りきると、次もおいしくいただくことができます。新茶の時期は香りが決め手でもありますので、普段より少しお湯の温度を高くしていただくと、香りをより楽しんでもらえると思いますよ。

最適なお茶の保管方法

未開封のものは、それほど暑くならない場所であれば、常温でもさほど問題はありません。本来、お茶にとっては冷蔵庫での保管がいいのですが、冷蔵庫で保管する場合は注意点があります。冷蔵庫から出す際に袋の表面に結露してきますので、その結露がなくなるまで待ってから開封してください。結露がなくなる前に開封してしまうと、お茶が水分を吸ってしまいます。冷蔵庫からの出し入れを繰り返すと、何度も水分を吸ってしまうことになるので、小分けにして缶に入れて、冷暗所で保管という方法が望ましいかと思います。

にほんものストアで買えるお茶

  • 煎茶

    煎茶

    日本で最も一般的に飲まれている緑茶。うま味、渋味、苦味のバランスが味の重視点

  • 深蒸し煎茶

    深蒸し煎茶

    通常の煎茶よりも蒸す時間を長くとったお茶。苦味が少なく緑が濃いのが特徴

  • 玉露

    玉露

    茶の葉を摘む前に20日ほど、覆いをかけ日光を遮り栽培。うま味が強調され、お茶のエスプレッソのような味わいが特徴

  • かぶせ茶

    かぶせ茶

    煎茶と玉露の中間の栽培方法で、覆いをすることで緑が濃いお茶の色と味に特徴を持たせたお茶

  • 玉緑茶

    玉緑茶

    お茶が丸まった形から「ぐり茶」とも呼ばれる。すっきりした味わいで最近人気が高まっているお茶

  • ほうじ茶

    ほうじ茶

    煎茶や番茶を炒って作った茶。香ばしい香りとスッキリとした味わいで、ホッとします

  • 烏龍茶

    烏龍茶

    半発酵茶。いわゆる中国茶で、さっぱりした味わいと香りが特徴

  • 紅茶

    紅茶

    茶葉を完全に発酵させてつくるお茶が紅茶です。日本でも紅茶を作る農家が多くなっており、柔らかな味わいを引き出しているものが多い

  • 後発酵茶

    後発酵茶

    茶の葉の酵素を熱で失活させて、微生物の作用で発酵させたお茶。地方のお茶としては碁石茶などが有名で、中国茶としてはプーアル茶が有名。

  • 抹茶(てん茶)

    抹茶(てん茶)

    玉露と同じように栽培された抹茶の原料の茶。葉の茎や葉脈を取り、揉まずに乾燥し、青のりのような形状にしたものを、茶臼で挽くと抹茶に

  • 詰合せセット

    詰合せセット