塩の神様が祀られる塩の聖地「塩竈」
縄文時代からすでに人が住んでいたとされる塩竈地域は、沖合で合流する親潮と黒潮によって常にプランクトンが供給される豊かな海に支えられ、古くから漁場として栄えてきた歴史を持ちます。そして、塩釜の地域経済に欠かせない特産品である塩の製法を人々に伝えたとされる神を祀る塩竈神社には数多くの参拝客が訪れ、それもこの地の発展に貢献してきました。塩竈神社の末社であり、塩竈神社と同じ鹽土翁神を御祭神としてお祀りしている御釜神社では、現在でも毎年7月4日から6日に古代の製塩法を今に伝える「藻塩焼神事」が行われており、まさに塩の聖地なのです。
古代から受け継がれてきた想いをカタチにして伝えたい
塩竈神社は北海道から五島列島まで117ありますが、塩の神事を実施しているのは伊勢神宮と塩竈神社だけ。神に捧げる三種の神器に塩、米、酒があるように、神様と塩は切り話せない深い関係にあります。今までにもいくつか他のエリアの海藻や海水を使って製塩をしないかという話があったそうですが、「神様のお膝元だからこそ塩竈の塩と言える。他の近隣地域で作ってもそれは塩竈の塩じゃないと思う」という気持ちでお断りしてきたそうです。ひとえに塩竈の歴史や想いや昔の人たちに考え方にふれ合ったり、学びたい人に伝えたいという気持ちから。それを実現するために、市内の小学校や中学校にも見学を通して伝える活動も行っています。
町のために町のみんなで手がける塩づくり
今から15年ほど前に開かれた町おこし会議の中で「藻塩焼き神事も行う塩の聖地なのにご当地塩がない。塩竈を盛り立てるなら”塩”だろう」という声が上がり、ご当地塩づくりが始まりました。若手たちが商工会議所の軒下で鍋釜だけ用意して試作を実施したところ、これが料理人などに高評価。そこから本格的な製塩所の設立を目指して動き始め、90年近く続く水産加工・粕漬けの会社を経営していた及川さんの元に「協力してくれないか」との相談が入りました。及川さんは、製塩に使用する釜と似たような釜の扱いの経験があったことから、町のためになるのならと2009年に工場の一部を製塩所にリニューアルしました。塩釜神社の神主による神事を行い、この地での製塩が正式に復活することとなりました。
塩職人
及川 文男
塩はサプリでも薬でもないので、栄養がどうこういうつもりはないのですが、身体の中に取り入れる塩はおいしくて優しい塩にしたほうがよいと思っています。私たちの塩はアクを徹底的にとっているので、まろやかで身体にとっても優しいと思います。
合同会社顔晴れ塩竈の商品
tabishio select にほんのでんとう
科学的根拠やテイスティングなどの官能検査に基づき、塩のデータベース化やその最適な使い方を研究しているソルトコーディネーター・青山志穂さん。塩のプロである青山さんが選ぶ、日本各地の藻塩4種のセットです。