【愛知県岡崎市】
合資会社八丁味噌(カクキュー)
「愛知県岡崎市の八帖町にある「合資会社八丁味噌」は、「カクキュー」の屋号でも知られる八丁味噌の老舗です。
1645年の創業以来続く伝統的な製法を守り続け、定番の八丁味噌から味噌を使ったオリジナル商品まで幅広く展開。日本の食文化に貢献し続けています。
1645年から370年以上続く、
歴史と伝統ある八丁味噌の会社です
徳川家康の生誕地である愛知県岡崎市の岡崎城から、西へ八丁(約870m)の距離にある八帖町(旧八丁村)。そこに、江戸時代初期から伝統製法の八丁味噌を作り続ける「合資会社八丁味噌」はあります。当主が代々襲名する早川久右衛門の「久」の字を四角で囲んだロゴを用いることから「カクキュー」の屋号でも親しまれる老舗企業です。大豆と塩から作られる八丁味噌(豆味噌)が代表的ですが、その八丁味噌を米味噌とブレンドした「赤出し味噌」も販売しています。八丁味噌の風味を生かしながらも、まろやかな風味が特徴で、やわらかく使いやすいため手軽に料理に取り入れることができます。その他、味噌を用いた多彩な調味料やオリジナル商品も多数開発。技術力の向上と伝統技術の継承に加え、時代の流れに合わせた柔軟な姿勢を忘れない合資会社八丁味噌は、日本の食文化の根幹を支える企業の1つなのです。
豆味噌の中でも特徴的な「八丁味噌」
長期間熟成することで生まれる風味や色、質感に特徴があります
江戸時代初期の八丁村(現・八帖町)のあたりは水陸交通の要所でもありました。大豆や塩を入手しやすく、矢作川の良質な水源にも恵まれていたため、味噌の醸造に適した立地だったのです。八丁味噌は、大きな木桶で仕込み、職人の手で円錐状に積み上げた天然の川石を重石に天然醸造で2年以上熟成させて作られます。黒に近い濃い赤褐色をしているのは、長期間にわたる熟成によるもの。その味わいも独特で、特有の酸味や渋味、苦味が感じられます。また、河川が入り組む高温多湿な気候でも味噌の保存性を高めるため、仕込みの際の水分量は最小限です。他の種類の味噌と比べても固めの質感なのは、その製法が影響しています。
八帖町の自然に任せた天然醸造と、
継承されてきた醸造環境が育むおいしさ
「合資会社八丁味噌」が作る八丁味噌の原料となるのは、厳選された大豆と塩。仕込みには、代々受け継がれてきた木桶を使います。桶に生息するその土地ならではの微生物が、独特の風味を生み出すのです。また熟成期間中には、特別な温度調整などを行いません。八帖町の風土そのままの環境でじっくり熟成させることにより、奥深い味わいを持つ八丁味噌となるのです。八丁味噌に特有の酸味や渋味などのほか、良質な大豆の濃厚な旨みと風味が凝縮されています。さらに、2007年から創業時の八丁味噌を再現する取り組みを実施。当時使用していたとみられる愛知県の在来種「矢作大豆」を原料に味噌を仕込み、2013年に完成、商品化しました。八丁味噌から赤出し味噌、さらには創業時の特徴的な味まで。昔ながらの伝統を守って作られるこだわりの商品は確かな品質を誇り、プロの料理人も愛用するほどです。
合資会社八丁味噌(カクキュー) 19代
早川久右衛門
色が濃く固めの質感から辛口と思われがちですが、実は塩味は控えめ。料理の味わいをまとめたり、コクを足したりする効果がある八丁味噌は、和洋中を問わず活躍します。また意外かもしれませんが、チョコレートや乳製品との相性も良好。お菓子作りにも活用できる万能の発酵食品なのです。