【島根県奥出雲町】
森田醤油
冬には豪雪地帯になる島根県奥出雲町。「子供から大人まで食べ続けて安全な醤油」を目指して、
原料の大豆と小麦は国産、ダシも自社で煮だしています。そして、森田さんの醤油づくりへのスタンスの方に魅力的を感じてしまうのです。
子どもから大人まで食べ続けて安全な醤油
「まあ、収量は少なくなりますが、おいしくなると思うんですよ」と森田さん。仕込みに使う塩水の量が一般的な醤油より少ないことに対して、こう解説をします。商品づくりのコンセプトは、まずおいしいこと。そして、子どもから大人まで食べ続けて安全な醤油であること。だから、ぽん酢などの加工品をつくる際も、だしの原材料を仕入れて、自社で煮だしています。自信を持って良いと思える原料を選び、まじめに丁寧な醤油づくり。森田醤油のすべての商品に共有していることです。そして、昔ながらの木桶仕込みも大切にしていて、百年先を見据えて木桶の修繕にも取り組んでいます。
小規模だからこそ経験値が積みあがる
森田醤油の蔵の中は決して広くありません。高さ2メートル超の桶がびっしり並べられ、搾った醤油を保管しておくタンクは二階にあったりと、限られたスペースを有効利用。桶の上に板を渡しその上に立って、諸味を攪拌すると、「ぴちゃっぴちゃっ」と心地よい音が蔵の中に響き渡ります。麹をつくるための室も小型なので、何度も何度も作業を繰り返す必要があります。おそらく、小規模の醤油メーカーでは全国トップの仕込み回数をこなしていると思われますが、その数だけ経験値が蓄積されています。
国産原料を使うために新工場は原材料が山積みに
商品ラインナップには国産原料の商品が並びます。ただ、大豆や小麦は自然がつくるもので、気象条件によっては良質な原材料が入手にしくいときもあります。そのようなリスクを避けるために、森田醤油の向上には先々を見据えてたくさんの国産原料が山積みになっています。また、だし醤油やぽん酢などの商品ラベルには〇〇エキスなどの表記はありません。できるだけ素材を仕入れて自社で加工を行う。手間もかかることですが、森田さんは「楽しい」と表現しています。そんな雰囲気も商品の味わいから感じられるような、ぜんぶがやさしい味わいです。
森田醤油
森田郁史 森田浩平
「醤油屋の息子だからという理由なら勤め人になったほうがいい。うちで働くと3倍働いてやっと給料が勤め人と同じ。でもね、楽しさは3倍以上だよ」と父に言われました。自分たちがよいと思うものづくり、やはり大変ですが、楽しいです。