第2回 おかずに合わせてお米を選ぶ時代

〜 第2回 〜
おかずに合わせてお米を選ぶ時代

株式会社山田屋本店 秋沢毬衣

株式会社山田屋本店 秋沢毬衣
五つ星お米マイスター、米・食味鑑定士。東京都調布市にある株式会社山田屋本店の6代目。全国の田んぼを訪問し、日本の精密かつ受け継がれゆく米作りや生産者の想いを国内外へ発信。お米の専門店「米屋彦太郎」を運営し、お米館調布本店・三越銀座店に出店している。

こんにちは。米屋の娘6代目の秋沢毬衣です。お米をもっと楽しく、美味しく食べるお手伝いをいたします。そして、自分好みのお米をみつける旅に誘います。

前回は、お米の食感を紐解きました。品種によっても、栽培方法によっても、食感や甘み、香りやのど越しは異なります。今回は、そのお米の個性を活かした、調理法やおかずとの相性をご紹介します。
前回まではこちら

ハンバーグにあうご飯はありますか?

わたしが、米屋の店頭に立っていると、お客様から、こんなご注文をいただきました。「今日は、子供の試験合格お祝いに、ハンバーグを作ろうと思っているの。ハンバーグにあうお米、ありますか?」と。なんて、素敵なご注文でしょう。米屋の娘としましては、今日のこのお祝いの席を飾る、ハンバーグ用のお米を仕立てねばなりません。

おかずにあわせてお米を選ぶ方法とは

おかずにあわせてお米を選ぶ

品種によって食感・甘み・香りが異なることを「お米の個性」と呼んでいます。これらをマスターすると、おかずに合わせてお米を選び、ごはんとおかずのマリアージュを楽しむことができます。

もっちり×粒肌しっかり食感
~味付けの濃いおかずにあわせるときに使う~

もっちり×粒肌しっかり食感 ~味付けの濃いおかずにあわせるときに使う~

おかず:洋食(ハンバーグ・カツレツ・ビーフシチュー)、おむすび(昆布・明太子・シーチキンマヨネーズ)

お米:つや姫、にこまる、いちほまれ、新之助

味付けの濃いおかず、例えば洋食でいうハンバーグやビーフシチューなど。ソースが濃い味わいのあるおかずの場合は、しっかりした食感のお米且つ、程よく粘りのあるお米を選びましょう。しっかり食感と粘りあるお米は、咀嚼回数が増え、味の濃いおかずの味の馴染みが良く、口内調味をする際にうま味に変わります。また、おむすびにおいても、昆布や明太子など味の濃い具材を選ぶ時には、冷めてからも程よい粘りがあり、粒感のあるお米は嚙むごとに、具材のうま味を引き立て、お米の相性をお楽しみいただけます。

もっちり×粒肌やわらかめ食感
~素材の味を楽しみたいおかずに使う~

もっちり×粒肌やわらかめ食感 ~素材の味を楽しみたいおかずに使う~

おかず:お刺身(サーモン・マグロ・アジ)/炊き込みご飯(甘めの炊き込み)鮭のおむすび

お米:だて正夢、おぼろづき、ミルキークイーン、金色の風

素材のうま味を活かしたい時には、もっちり×やわらかめのお米を選びましょう。例えば、DHA・EPAと言われている魚の油には、もっちりとした食感のお米と咀嚼し合わせると、お米の甘み成分である“でんぷん”と、魚の油由来の旨味との相性良く感じられます。また、炊き込みご飯でも、甘じょっぱく味付けをした油揚げや鶏肉などの具材を合わせる時には、もっちりしたお米がおすすめです。トウモロコシご飯など、甘みある食材との相性が良いです。

粘りあっさり×粒肌しっかり食感
~汁気の多いものとあわせるときに使う~

粘りあっさり×粒肌しっかり食感 ~汁気の多いものとあわせるときに使う~

おかず:丼系(親子丼・牛丼・天丼)、手巻き寿司、お鍋の〆のごはん

お米:青天の霹靂、さがびより、ささ結、元気つくし

前述の通り、しっかりした粒感のお米は、味付けの濃いおかずによく合います。親子丼や牛丼など、ツユをかけて楽しむ調理の場合は、粘りにおいてはあっさりしたお米を選びましょう。また、手巻き寿司についても、寿司酢を合わせた時に、べちゃつかず、ほろりとほぐれ、そして具材を受け止められるしっかり食感のお米が良く合います。

粘りあっさり×粒肌やわらかめ食感
~お米の味を活かしたいときに使う~

粘りあっさり×粒肌やわらかめ食感 ~お米の味を活かしたいときに使う~

おかず:お茶漬け、おかゆ

お米:きぬむすめ、ななつぼし、あきたこまち、たかたのゆめ、銀河のしずく

極めてあっさりとした食感のお米は、お米のテクスチャーとしては、繊細な印象を受けるかと思います。お茶漬けやおかゆなど、お米の味わいがベースとなる調理法の場合は、あっさりとした食感で粒肌やわらかめのお米を選ぶと、少ない咀嚼でお米の甘みがひきだされ、うま味を感じる事ができます。お米の味わいを楽しむお料理にお使いください。

今回ご紹介する商品はコレ!

粘りあっさり食感を味わう2種のお米セット
(鳥取県日野郡産奥大山江府米きぬむすめ1kg 佐賀県武雄市産さがびより1kg)
¥1,980(税込)

お米マイスター秋沢さん厳選!
あっさり×粒感やわらかめ食感「きぬむすめ」と、あっさり×粒肌しっかり食感「さがびより」の2種類をセットにしました。

鳥取県日野郡産奥大山江府米きぬむすめ/奥大山江府米プレミアム研究会 加藤誉正さん(鳥取県)

鳥取県日野郡産奥大山江府米きぬむすめ/奥大山プレミアム特別栽培米研究会 遠藤功さん(鳥取県)

あっさり×粒感やわらかめ食感

おすすめのおかず:お茶漬け、おかゆ、白身のお刺身

標高1200mの奥大山の麓にある江府町。〝水の山〟と称される奥大山のブナ林を源流とする清涼な水で育まれた“きぬむすめ”。名前の通り、娘さんの肌のようなきめの細かい柔らかな食感と、あっさりとした粘りが特徴です。優しい印象のお米ながらも、甘みは濃く、味わい深いお米です。お米の味を活かした調理である、お茶漬けやおかゆなどに適しており、のど越しよくお召し上がりいただけます。

佐賀県武雄市産さがびより/さがびより米マイスター 山口和己さん(佐賀県)

佐賀県武雄市産さがびより/さがびより米マイスター 山口和己さん(佐賀県)

あっさり×粒肌しっかり食感

おすすめのおかず:丼系(親子丼・牛丼・天丼)、手巻き寿司、お鍋の〆のごはん

九州の米どころ佐賀県武雄市橘地区のさがびよりは、しっかりとした食感とキレの良いのど越しが特長のお米です。親子丼や牛丼など、味付けの濃い具材に合わせても負けないうま味と、ツユをかけて楽しむ調理に適した、あっさりとした粘り。寿司酢を合わせても、べちゃっとしないので手巻きずしもおすすめです。ほろりとほぐれて具材を受け止められるしっかり食感のお米です。