第5回 朝ごはんにおススメのお米
〜 第5回 〜
朝ごはんにおススメのお米
株式会社山田屋本店 秋沢毬衣
五つ星お米マイスター、米・食味鑑定士。東京都調布市にある株式会社山田屋本店の6代目。全国の田んぼを訪問し、日本の精密かつ受け継がれゆく米作りや生産者の想いを国内外へ発信。お米の専門店「米屋彦太郎」を運営し、お米館調布本店・三越銀座店に出店している。
こんにちは。米屋の娘6代目の秋沢毬衣です。自分好みのお米を見つけるお手伝いをいたします。今回は、「朝ごはんにおススメのお米」をご紹介いたします。
前回まではこちら
目次
忙しい朝は、あれこれおかずを並べるのではなく、ごはんそのものが、おいしいと思えるお米を炊いてみませんか?
第3回の「お米をもっとおいしく食べる方法について」で、おいしいご飯を炊くコツをご紹介しましたが、今回は、特に「朝食にこそ、食べたいお米」についてのお話をします。そもそも朝ごはんは、寝ている間に使われたブドウ糖を補給し、一日のエネルギー源となる大事な食事です。とはいえ、朝は忙しく、おかずをたくさん用意することは、難しいのが現実。だからこそ、シンプルなおかずでも、ごはんそのものがおいしいと感じられる、一日の活力となるようなお米を選びましょう。
お米マスターが選ぶ、朝ごはんにおススメのお米
〜 その1 〜
特別栽培米兵庫県豊岡市産コウノトリ育むお米コシヒカリ(兵庫県豊岡市)
ごはんが、おかずになるごはん
一口目から甘みが濃く、ごはんを食べ続けていたい口福感のあるお米です
コウノトリが大空を舞う但馬。「コウノトリ育むお米」は、カエルやドジョウなど、エサとなる生き物が育つ環境づくりに取り組み、コウノトリの野生復帰を支える「コウノトリ育む農法」で栽培・収穫されています。できる限り自然のままを追求した安全・安心の田んぼで、生産者が愛情を注いだ“人と自然に優しい”お米です。
朝ごはんは、おかずが少ない分、お米の味に真価が問われます。コウノトリ育むお米コシヒカリは、一口目から口の中をジューシーな甘みが広がり、ごはんだけでも食べ続けていたいお米です。粒のほぐれ感が良く、もっちりとした粘りのあるお米でおかずのいらないご飯です。
「コウノトリ育む農法」は、できるだけ農薬や化学肥料に頼りません。
コウノトリは羽を広げると2メートルにもなる大型の鳥です。かつては、日本各地に生息していましたが、戦後の経済成長に伴う生息環境の悪化で激減しました。コウノトリを保護し再び自然界へ帰すプロジェクトが1965年より始められ、1989年にはコウノトリの人工繁殖が成功。また、2003年より「コウノトリを農業で支える」というスタイルが生産者に広がっていき、「コウノトリのエサを増やす」という明確な目的のもと、農薬や化学肥料に頼らず、美味しいお米と多様な生き物を同時に育む「コウノトリ育む農法」が誕生しました。
美味しいお米と多様な生き物を同時に育む。一年中、様々な手段で「生き物を増やす工夫」が施されています。
米作りをしながら、生き物を増やす工夫のひとつとして、「水路魚道」があげられます。水路で暮らすフナやドジョウ、ナマズなどの淡水魚が、水田魚道を遡上して田んぼで産卵します。温かくエサの豊富な田んぼで成長した稚魚は、やがて水田魚道を下降して水路で生活します。また。稲刈りの終わった田んぼに水を張ることで、微生物やイトミミズが増えて、稲作に適した土づくりの手伝いをしてくれます。
我が子や孫へ安全安心な農産物を食べさせたいという想いは世界共通の願いです。自然と調和しながら、コウノトリ育む農法を広げていきたいです。
豊岡市コウノトリ共生部農林水産課環境農業係 主査
家元貴司
〜 その2 〜
秋田県産おばこの匠あきたこまち(秋田県仙北市)
ごはんのおとも“に相性の良い粒感
お漬物・佃煮・納豆など、朝食のおともにあわせたいお米です
もとより稲作に適した土地である秋田県角館地区は、桧木内川流域の豊かな水源と、昼夜の寒暖差のある気候が特長で、お米にとって環境のよい風土と言えます。そんな好条件におごらず、毎年、自らの田んぼの土を土壌分析センターにて検査を行い、分析を元にピンポイントで適切な肥料を与え、土づくりを行っています。
「おばこの匠」は、食味を審査するお米のコンテストで、地域の生産者およそ700名の中から選ばれた食味評価上位5名が作る厳選された"最高のあきたこまち”です。しっとりと柔らかな食感と、程よい軽やかな粘り、のど越しの良さが特長で、甘じょっぱい佃煮や、お漬物、納豆など、ごはんに合わせて引き立つおかずとの相性が良いお米です。
米作りに適した肥沃な仙北平野。
鳥海山系と奥羽山脈に囲まれた秋田県仙北平野では、昔から、米作りが盛んに行われていました。桧川流域を水源とし、四季の豊かさと夏場には昼夜の寒暖差も大きく、お米の糖熟しやすい環境が整っています。
土壌分析を行い、「地力」を高める取り組みを、地域で行っています。
地元の生産者同士で勉強会やお米のコンテストを行い、地域全体で切磋琢磨しながら米作りをしています。特に、地元に併設している土壌分析センターでは、他の産地に比べて低価格で検査を行うことができ、毎年生産者は、自らの土壌の調査をし、結果をもとに土づくりや肥料バランスを検討しています。特に、肥料については植物由来の原料を使用し、必要な箇所にピンポイントに追肥を行うことができ、経済的で効果的な栽培が実現しています。
自分が食べたいと思えるお米を作っています。それをお客様に食べてもらって、おいしかったという笑顔を励みに作り続けます。
合同会社 小玉農場 代表社員
小玉均
朝、空気がピンと張りつめた部屋の中で、くつくつくつとご飯の炊ける音、そして甘いご飯の香りが広がります。炊き上がったお釜からぴかぴか・ツヤツヤした米粒を覗いている時は、忙しい朝にほっと一息つける瞬間ですね。