第8回[種類]醤油はワインに似ている

〜 第8回 〜
[種類]醤油はワインに似ている

職人醤油 高橋万太郎

職人醤油 代表 高橋万太郎
全国400以上の醤油蔵を訪問し、セレクトした醤油を販売する「職人醤油」代表。前橋本店のほか東京の松屋銀座店にも出店している。

今回は、醤油6種類について、それぞれの違いと素材とのペアリングについてお話させていただきます。醤油は使い分けると、もっと楽しくおいしくなりますよ。
前回まではこちら

刺身にあう醤油はどれ?

私の運営する醤油の専門店「職人醤油」には、日本各地の100種類の醤油が並んでいます。通りかかったお客様が「こんなに醤油があるの???」と立ち尽くしている光景をよく目にするのですが、迷われた後にこんな質問をいただくことが多いです。「この中でお刺身にあう醤油はどれかしら?」。そんな時はこのように答えるようにしています。「お刺身ですね。ただ、一言に刺身といっても、赤身の魚と白身の魚とでは相性のよい醤油は違うと思いませんか?」。すると、そう言われれば…という表情になり、続けて、「例えば、白ワインと赤ワインで食べ合わせておいしい素材ってありますよね?」と伝えると「確かに、白ワインだったら白身系のお魚よね」と、納得の表情になります。

醤油は6種類に分類することができます

醤油は6種類に分類することができます

醤油は上図のように6種類に分類することができます。左から右にいくにつれて色が濃くなり、熟成期間が長く、うま味も多くなります。左側の白醤油と淡口醤油が白ワイン系。右側の再仕込醬油と溜醤油が赤ワイン系をイメージいただくと分かりやすいと思います。

例えば、お豆腐。大豆のほのかに優しい甘みに濃厚な醤油をかけると、すべてが醤油の味わいになってしまいます。せっかくの繊細な味わいも台無しです。こんな時は醤油の主張は抑えめで、少し塩味が強調された白ワイン系の淡口醤油がおすすめ。スイカに塩をかけると甘みが増すのと同じ原理で、塩味が素材を引き立ててくれます。逆に、リーズナブルなお肉を買ってきてステーキにする時は赤ワイン系の溜醤油がおすすめです。熟成期間が長くうま味たっぷりの醤油が、素材の少々の物足りなさを、しっかりカバーしてくれます。溜醤油と肉が口の中で一体になり、自然の極上ソースに早変わりってわけです。

豆と塩だけでつくる濃厚なグルテンフリー醤油 中定商店
愛知県武豊町

熟成期間の長い醤油といえば溜醤油です。愛知県武豊町は溜醤油の主産地で、中定商店では大きな木桶に重石の載せた光景を目にすることができます。原材料が大豆と塩だけ。しかも、仕込みに使う水も少ないのでうま味が強いことが特徴です。醤油の種類の中でのトップクラスにうま味がつよいのが溜醤油だと思います。そのため、ソースをかけて食したい用途に向いています。ステーキや赤身の魚、スーパーで比較的安めに売られている普通の豆腐には、溜醤油がおすすめです。また、熱を加えると素材にきれいな照りを与えてくれます。ジューシーな鶏の照り焼きはボリュームたっぷりの定番おかず。艶やかな照りと濃厚なとろみが鶏肉と良く絡みあい、甘じょっぱいコクが口の中にたっぷりと広がります。もう濃口醤油で作る照り焼きには戻れないかも…。

素材を活かす、かけて使ってほしい淡口醤油 末廣醤油
兵庫県たつの市

兵庫県たつの市は淡口醤油の主産地。その地で天然醸造の淡口醤油を手掛ける末廣醤油は、もっと淡口醤油を使ってもらうにはどうしたらよいかと考える日々が続いていました。ある日、社長の末廣卓也さんはこんな光景を目にしたそうです。「ある料理屋さんで塩をかけて食べさせている姿を目にしたのです。なんてことのない光景ですよね。ただ、塩で食すと素材の味がよく分かる。あぁ、そうだ、淡口醤油は塩味が強くてうま味は少ない。これは素材の味を一番感じていただける醤油になれるのではないか?!」これで、「かける淡口」をつくろうというコンセプトが決まりました。そこで頼ったのが米麹。淡口醤油のしょっぱさを抑えることと素材の味を引き立てことのバランスをとるために米麹を使って試行錯誤。素材を楽しむための醤油としてぜひ使ってみてください。

火入れをしていない生の醤油 森田醤油
島根県奥出雲町

島根県奥出雲町にある森田醤油が目指すのは、「子供から大人まで食べ続けて安全な醤油」。納得のいく国産の大豆と小麦を使うために、倉庫の中には先々の仕込み分も見据えた原材料が山積みされています。ただ、そのような想いが土台にありながらも、森田さんの醤油づくりへのスタンスの方に魅力的を感じてしまうのです。「いや、特にまぁ、普通ですよ」と本人は言うのですが、仕込みに使う塩水の量も10水と一般的な平均よりかなり少ない。「まぁ、収量は少なくなりますが、おいしくなると思うんですよ」と笑います。そして、火入れをしていない生の醤油も。見た目も淡い赤褐色。フレッシュな香りにほのかな甘み。うま味のベースがしっかりしているので万能に使える醤油だと思います。熱が加わるとさらにふわっと立ち上がるので、少し熱が加わる焼き魚などにはおすすめです。

今回ご紹介する商品はコレ!

醤油とワインのつながりを感じる3本セット
¥1,566(税込)

それぞれ異なる蔵元が手掛ける醤油で、醤油の地域による個性を感じていただける醤油をセレクトしました。

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宝山 丸大豆たまり

宝山 丸大豆たまり(中定商店

おすすめの使い方:赤身の刺身、照り焼き

杉の大桶で3年間、天然醸造させて豆味噌を搾った溜醤油。主原料は大豆と塩のみ。少量の仕込み水のため大変濃厚なうま味を有します。ジューシーな鶏の照り焼きはボリュームたっぷりの定番おかず。溜で作ると艶やかな照りと濃厚なとろみが鶏肉と良く絡みあい、甘じょっぱいコクが口の中にたっぷりと広がります。しっかりとうま味のあるタレなので、マヨネーズと合わせても負けずに更に食のすすむ一品になります。
淡紫

淡紫(末廣醤油

おすすめの使い方:白身の刺身、冷奴

淡口醤油の老舗がたっぷりの米麹の力を借りてまろやかな味に仕上げました。色も香りも控えめで素材を活かすことに徹した醤油です。繊細な素材にかけるとその力を存分に発揮します。大豆の甘みも感じるようなおいしい絹豆腐にあわせると繊細な香りや味がさらに引き立ちます。刺身ならタイやヒラメなどの白身のほかホタテや甘エビにも。
丸大豆生醤油

丸大豆生醤油(森田醤油

おすすめの使い方:焼き魚、お寿司全般

奥出雲の清涼な湧き水と国産丸大豆、国産小麦、天日塩を原料に、醗酵・熟成させ搾ったままの生醤油。脂ののったジューシーな旬の魚にかけてみてください。焼き魚の脂のうま味はそのままに、醤油のスッキリ感が加わってしつこくなくいただけます。焼き鮭の塩味が強くて気になるときにもさっとひとかけ。塩味を和らげてくれますよ。