第7回 おいしい刺身は、まず塩で

〜 第7回 〜
おいしい刺身は、まず塩で

ソルトコーディネーター 青山志穂

ソルトコーディネーター 青山志穂
一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事。塩の知識啓蒙のため、塩のプロであるソルトコーディネーターの育成のほか、国内外を飛び回りながら塩の基礎知識や使い方に関する講座を実施。メディア出演、執筆売場のコーディネート、商品開発、シェフとのコラボなど活動は多岐にわたる。

みなさん、こんにちは。塩の正しい知識や使い方、塩全般の魅力をお伝えする活動をしている、ソルトコーディネーターの青山志穂と申します。連載を通して、みなさんの生活がぐっと豊かにおいしく、そして健康的になる塩の使い方をお伝えします。どうぞよろしくお願いいたします。さて、今回はおいしい刺身に合う塩についてご紹介します。
前回まではこちら

塩で食べると食材本来の味わいがわかる

刺身は醤油で食べるのが当たり前だと思っていませんか?実は、醤油が庶民の食卓に登場するようになったのは、江戸時代中期になってから。それまでは海水を塩ができあがる直前まで濃縮した「水塩」や、日本酒に梅干しと鰹節と塩を合わせて煮詰めた「煎り酒」が、刺身に合わせる調味料として一般的に使われていました。

塩で食べると食材本来の味わいがわかる

醤油には約300種類を越える香り成分が含まれていると言われ、グルタミン酸を多く含むため濃厚なうまみもあり、醤油を使うことで刺身に華やかさとうまみを加えてくれます。
塩には基本的に香りがありませんし、塩そのものに醤油ほどの濃厚なうまみはありません。しかし、塩は食材が持つ本来の味わいをさまざまな方向から引き出し、余すところなく食材の性格そのものを楽しむことができます。Aという塩を使えば魚に含まれる甘味にスポットライトが当たり、特徴の異なるBという塩で食べるとうまみにスポットライトが当たる、という具合です。それ以外にも、「このタコはほのかにイカの味がする」なんていう、食べたエサの特徴まで気がつくことができます。
醤油で食べる刺身はもちろん美味しいのですが、まずは塩だけで食べてみませんか?魚本来の味わいをしっかり知ってから醤油を使ったほうが、おいしさの幅が広がり、食卓がより楽しくなりますよ。

赤身の魚と白身の魚に合う塩は違う

これまでのコラムでもご紹介したように、赤身と白身では相性が良い塩が違うのは、魚介類も肉も同じです。
カツオやマグロなどの赤身の魚はミオグロビン(鉄分)を多く含むため、同じく鉄分を多く含む塩が相性が良い傾向がありますし、タイやハマチなどの白身の魚にはわずかながら苦味が含まれていることが多いので、塩もほのかに苦味のある塩がおすすめです。また、赤身のほうが白身よりも味が濃厚で余韻も長く続くため、赤身には少ししょっぱさが強い塩が、白身の魚にはしょっぱさがまろやかな塩が合いやすいと言えます。

脂がのっているかどうか、油を使うかどうかもポイント

塩選びには、脂(油)が重要なポイントになります。たとえばマグロでは、部位によって大トロ、中トロ、赤身と分かれます。脂がのっている部位は、しょっぱさがさらに強めのものでないと塩が魚の脂を受け止めきれず、不必要に塩の使用量を増やすことになってしまいます。また、オリーブオイルやごま油と合わせて食べる時などは、油が加わった分、塩にも力強いしょっぱさが必要になります。オリーブオイルと合わせてカルパッチョにしたり、ごま油と合わせて韓国風に仕上げるような料理の際には、塩選びに注意すると、よりおいしくなります。

脂がのっているかどうか、油を使うかどうかもポイント

刺身は鮮度の良いもので

刺身を塩で食べる時に重要になるのは、なにより鮮度です。鮮度の落ちた魚には生臭さが隠れているため、塩で食べるとその生臭さも引き立ってしまうことがあります。鮮度が落ちて締まった刺身は、全体にべたっと塩を塗って塩漬けにして置いて、余分な水分とともに生臭みを吸い出してからさっと水洗いして、「魚の生ハム」のようにして食べるという手段もあります

今回ご紹介する商品はコレ!

魚の本来のおいしさを味わえる「さかなのしお」
¥1,512(税込)

塩の達人・青山さんが全国各地の塩の生産地を訪問してセレクトした、さかなに合う塩が詰まったセットです。1つの1つの塩の説明やおすすめの使い方が記載されたパンフレットも入っているので使いやすさ抜群です! 指でつまんで刺身の上にぱらりとかけてお楽しみください。わさびと合わせてもOKです。

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屋我地マース(株式会社塩田/沖縄県)

屋我地マース(株式会社塩田/沖縄県)

旬の白身魚に

相性の良い料理:脂ののった白身魚、イカに

今や全国的にも希少な伝統的な入浜式塩田で生産される海水塩です。塩そのものに上品な和風だしのようなうまみがあるので、脂ののった白身魚のうまみと同化して、濃厚なうまみを演出してくれます。イカやタコとの相性も抜群です。

浜比嘉塩(株式会社高江洲製塩所/沖縄県)

浜比嘉塩(株式会社高江洲製塩所/沖縄県)

赤身にも白身にも

相性の良い料理:脂ののった赤身魚、白身魚に。オイルと合わせても

伝統的な枝条架式塩田で生産される海水塩です。塩が溶ける時に、海辺で感じるような爽やかな潮風の香りを感じられます。少し大きめの結晶でカリッとした食感があるので、刺身は少し厚めに切るか、歯ごたえがある魚との相性が特に良い塩です。オイルと合わせてカルパッチョにしても。

矢堅目の藻塩(株式会社やがため/長崎県)

矢堅目の藻塩(株式会社やがため/長崎県)

海藻のエキスをプラス

相性の良い料理:脂の少ない赤身魚に

長崎県の五島列島で、島の自然に育まれた恵みに寄り添った塩づくりを行っています。島で獲れる海藻を活用した藻塩で、適度な海藻の香りとうまみがあるバランスタイプで使い勝手がよいのが特徴。特に赤身魚との相性が良く、刺身のうまみをぐっと全面に引き出してくれます。

竈方の塩(竈方塩づくり振興協議会/三重県)

竈方の塩(竈方塩づくり振興協議会/三重県)

白身魚にうまみが加わる

相性の良い料理:脂の少ない白身魚に

かつてこの地に住み着いた平家の子孫が始めた塩づくりを、地域活性化を目指して復活させました。サクッとした食感がありますが口溶けは良く、マグネシウムを多く含み、おいしい苦味とまろやかなしょっぱさ、甘味が特徴の塩です。白身魚の甘味を引き出してくれます。

日本と世界の塩の図鑑

しっかり塩を勉強したい方は、こちらの本もおすすめです。

日本をはじめ世界各国の245種類の塩について、詳しい説明やおすすめの使い方が記載されている他、塩の豆知識や基礎知識を学ぶことができます。

日本と世界の塩の図鑑

¥1,650(税込)