第8回 野菜をおいしく食べよう!塩選びの秘訣

〜 第8回 〜
野菜をおいしく食べよう!塩選びの秘訣

ソルトコーディネーター 青山志穂

ソルトコーディネーター 青山志穂
一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事。塩の知識啓蒙のため、塩のプロであるソルトコーディネーターの育成のほか、国内外を飛び回りながら塩の基礎知識や使い方に関する講座を実施。メディア出演、執筆売場のコーディネート、商品開発、シェフとのコラボなど活動は多岐にわたる。

みなさん、こんにちは。塩の正しい知識や使い方、塩全般の魅力をお伝えする活動をしている、ソルトコーディネーターの青山志穂と申します。連載を通して、みなさんの生活がぐっと豊かにおいしく、そして健康的になる塩の使い方をお伝えしていこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。今回は、野菜に相性の良い塩についてご紹介していきます。
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野菜をおいしく食べるのに塩は欠かせない

「野菜をたくさん食べなさい」と言われたことがない人はいないのではないかと思うほど、野菜は積極的な摂取を推奨されています。でも、野菜そのものだけを味付けなしで食べようとすると、特に生野菜の場合は、量が食べられません。いくつか要因はあるのですが、そのうちの1つに、野菜には塩分が含まれているものが少ないということがあります。塩分には味の輪郭をはっきりとさせてうまみを強く感じさせる作用があるので、塩分が全然入っていないと、味がぼやけてしまうので、おいしく感じにくくなります。特に野菜は肉などに比べてそこまで味が濃厚ではないので、余計にぼんやり感じがち。塩を少量加えることで、味がはっきりしておいしく食べられるようになります。

野菜をおいしく食べるのに塩は欠かせない

また、野菜には摂りすぎたナトリウムを体外に排出する働きがあるカリウムを多く含むものが多く、結果として身体を冷やす働きのあるものが多々あります。塩はナトリウムを主体としたミネラルの塊で、身体を温める働きがあります。野菜だけを食べ過ぎると必要なナトリウムも排出してしまったり、身体が冷えてしまうので、野菜を塩と一緒に食べるというのは、健康上の面でも非常に理にかなってるのです。

よく聞く「緑黄食野菜」と「淡色野菜」とは

よく野菜は緑黄食野菜とという分け方をして区別されています。緑黄色野菜とは、可食部100gあたりのカロテン(カロチン)含有量が600㎍以上の野菜のことを差します。トマト、ピーマン、にんじんなどが代表的ですね。それ以外の野菜はその他の野菜として分類され、まとめて淡色野菜と呼ばれています。カロテンの含有量が多い=色が濃いものが多いということで、色が濃い野菜=緑黄食野菜、色が薄い野菜=淡色野菜として認識している方も多いのではないでしょうか。(ちなみに、なすは外側の色は濃いですが中身は白いので淡色野菜です)ただ、野菜は種類も味も多種多様。たとえばトマトを最高においしくしてくれる塩が、にんじんでも同じようになってくれるかというと、そうではなかったりします。

野菜の特徴で分類して考えるのがコツ

野菜を分類する時は、たとえば「水っぽい」「土の香りがする」「酸味がある」「加熱すると甘い」など、その野菜の最大の特徴で分類してあげると、相性の良い調味料や組合わせが見つかりやすくなります。いくつか例をあげてみましょう。

野菜の特徴に合わせて塩を選ぼう野菜の特徴に合わせて塩を選ぼう

野菜の特徴に合わせて塩を選ぼう

野菜を特徴で分類したら、それに合わせて共通点を持つ塩を選んであげると、少量でしっかりと味がきき、おいしく食べることができます。基本的には野菜は味が繊細なものが多いので、しょっぱさがあまり強くない塩が良いのですが、トマトだけは、最近どんどん甘味とうまみが強くなるように改良された品種が多くなってきているので、品種によってかなり合う塩が変わります。少し多めに塩をかけるか、しょっぱさの強めの塩をかけるようにしてみてください。

野菜の特徴に合わせて塩を選ぼう野菜の特徴に合わせて塩を選ぼう
今回ご紹介する商品はコレ!

いろんな野菜をおいしく食べられる「やさいのしお」
¥1,512(税込)

塩の達人・青山さんが全国各地の塩の生産地を訪問してセレクトした、野菜に合う塩が詰まったセットです。1つの1つの塩の説明やおすすめの使い方が記載されたパンフレットも入っているので使いやすさ抜群です!ムラにならないよう、ボウルの中で野菜としっかり混ぜてあげるのがおすすめです。オイルと合わせるのも◎。

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つるみの磯塩(有限会社サンワールドつるみ/大分県)

つるみの磯塩(有限会社サンワールドつるみ/大分県)

塩なのに甘味を感じる

相性の良い料理:加熱すると甘くなる野菜

製塩過程で海水に含まれる不純物を徹底的に除去することで、上質な和三盆のような口溶けを実現しています。まろやかなしょっぱさにしっかりした甘味が感じられます。かぼちゃやにんじんなどを蒸した温野菜サラダにおすすめです。

龍神乃鹽(合同会社龍神乃里/山口県)

龍神乃鹽(合同会社龍神乃里/山口県)

すべてがほどよい

相性の良い料理:水っぽい野菜

山口県の周防で、目の前に広がる豊かな海の海水を薪で焚いた平釜でコトコトと煮詰めて結晶させた塩です。適度なしょっぱさがあり、その中に甘味やうまみ、酸味、苦味などをバランス良く感じることができます。きゅうりや白菜などで浅漬けを作ったり、野菜サラダにオイルとともにかけるのもおすすめ。

石垣の塩(株式会社石垣の塩/沖縄県)

石垣の塩(株式会社石垣の塩/沖縄県)

うまみがしっかり

相性の良い料理:土の香りのする野菜

石垣島の美しい海水を逆浸透膜で濃縮したのち、高温蒸気で蒸すようにして結晶化させています。ほどよいしょっぱさとほのかな甘味のほか、しっかりとしたうまみを感じることができます。製法に土は関与していませんが、なぜか根菜類との相性が非常によく、特に加熱した芋類にぱらっとかけて食べると驚きのおいしさになります。大手食品メーカーのポテトチップスにも採用されています。

Flower of Ocean シホ(OSHIMA・OCEANSALT有限会社/東京都)

Flower of Ocean シホ(OSHIMA・OCEANSALT有限会社/東京都)

優しいのに濃いめ

相性の良い料理:酸味のある野菜

伊豆大島で製塩を始めた阪本氏が、自作のダイヤモンド型ドームで海水を天日濃縮し、蒸気で熱した平釜で結晶化させた塩。しょっぱさはまろやかですが、全体的にボリューム感のある味わいで濃厚です。トマトのような酸味とうまみが強い野菜には特におすすめ。オイルと合わせるのも◎です。

日本と世界の塩の図鑑

しっかり塩を勉強したい方は、こちらの本もおすすめです。

日本をはじめ世界各国の245種類の塩について、詳しい説明やおすすめの使い方が記載されている他、塩の豆知識や基礎知識を学ぶことができます。

日本と世界の塩の図鑑

¥1,650(税込)