第2回 塩はしょっぱいだけじゃない~多彩な塩の味わい~

〜 第2回 〜
塩はしょっぱいだけじゃない~多彩な塩の味わい~

ソルトコーディネーター 青山志穂

ソルトコーディネーター 青山志穂
一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事。塩の知識啓蒙のため、塩のプロであるソルトコーディネーターの育成のほか、国内外を飛び回りながら塩の基礎知識や使い方に関する講座を実施。メディア出演、執筆売場のコーディネート、商品開発、シェフとのコラボなど活動は多岐にわたる。

みなさん、こんにちは。塩の正しい知識や使い方、塩全般の魅力をお伝えする活動をしている、ソルトコーディネーターの青山志穂です。みなさんの生活がぐっと豊かにおいしく、そして健康的になる塩の使い方をお伝えする連載、今回は第2回目です。しょっぱいだけじゃない、塩の味についてご紹介していきます。
前回まではこちら

塩の味はなにで決まるのか?

よく、「岩塩だから~」「海水塩だから~」と、原料の種類で味を決めてしまうのを耳にするのですが、実は塩の味は、原料よりも製造方法によって大きく変化していきます。それは、製造方法によって、塩の結晶の中に含まれる各種ミネラルのバランスと結晶の形が決まるからです。塩に含まれるミネラルは下記の通り。それぞれ味が決まっているので、どのミネラルがどのようなバランスで含まれているかが、味に大きな影響を与えます。塩を構成する主なミネラルとその味わいは、下の図の通り。ぜひ覚えておきましょう。

塩の味を構成するミネラル塩の味を構成するミネラル

上記のミネラル以外にも、鉄が含まれている場合には鉄由来の酸味を感じることができますし、硫黄が多く含まれている場合は、温泉たまごのような独特の香りと甘味を感じることができます。

パッケージを見ると塩の味が推測できる

塩に含まれるミネラルの量は、パッケージの裏側の栄養成分表示(熱量、たんぱく質などが記載されているところ)に記載されています。2020年4月より、ナトリウムは「食塩相当量」として記載することになったので、100gあたりの「食塩相当量」を見てみてください。この数値が高ければナトリウムの構成比が高いということなので、しょっぱさが強い塩ということができます。この数値が低ければ、ナトリウム以外のミネラルが多く含まれているので、しょっぱさ以外にもいろいろな味が感じられる塩ということです。メーカーによっては、ナトリウム以外のミネラルの含有量も記載していることもあります。

もしなにも記載がない場合は、塩がベタベタしているかを見てみてください。ベタベタしている塩は、マグネシウムとカリウムが主体となったミネラル濃縮液である「にがり」が塩の結晶に付着しているので、ナトリウムの構成比は低めのことがほとんどです。

栄養成分表示

このように、塩は1つ1つ味が異なるので、どの塩を使うかによって、料理の味が変わります。ぜひ、シンプルに食材+複数の塩で、引き出される食材の味わいの変化を楽しんでみてくださいね。

今回ご紹介する商品はコレ!

いろんな味わいの塩を試せる!「きほんのあじわい」
¥1,512(税込)

塩の達人 青山さんが全国各地の塩の生産地を訪問してセレクトした初心者にも使いやすい基本の塩セットです。
1つの1つの塩の説明やおすすめの使い方が記載されたパンフレットも入っているので使いやすさ抜群です!

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西表島の塩釜炊き(ソルトラボ石垣島/沖縄県)

西表島の塩釜炊き(ソルトラボ石垣島/沖縄県)

まろやかな甘みを感じさせる塩

相性の良い料理:野菜類全般に、特に加熱すると甘くなるにんじんやたまねぎなど

東洋のガラパゴスとも呼ばれ、独自の生態系を誇る自然豊かな西表島で、有志の若者の手によって100年前に途絶えた塩作りが復活しました。島の大部分を覆う山と川に育まれた美しい海水を原料に、不純物をしっかり除去しながら濃縮したのち、ピカピカに磨き上げられたステンレス製の釜で丁寧に炊き上げています。できあがった塩は白くふわふわ。口に入れるとするりと溶け、まろやかなしょっぱさと、上質な砂糖のような上品な甘味を感じられます。

青い海(株式会社青い海/沖縄県)

青い海(株式会社青い海/沖縄県)

いろんな味覚がバランス良く含まれた万能タイプ

相性の良い料理:なんでも合わせやすいので普段使いに、特に豚肉は発色良く仕上がります

沖縄県南部に位置する糸満市の美しい海を目の前に臨む製塩所は、沖縄県内一の規模を誇ります。沖合の海水を逆浸透膜で濃縮して不純物をしっかりと除去したのち、25mプールほどの大きさの巨大な平釜でじっくり丁寧に炊き上げています。できあがった塩は水分量も粒の大きさもちょうどよく、ふり塩もしやすいのが特徴です。味のバランスに非常に優れているためどんな食材にも合わせやすく、食材本来の味を下支えして強調してくれます。キッチンにあると便利な、普段遣いの塩としておすすめ。

粟国の塩釜炊き(沖縄海塩研究所/沖縄県)

粟国の塩釜炊き(沖縄海塩研究所/沖縄県)

おいしい苦味など、味のデパートのような複雑な味わい

相性の良い料理:脂身の多い豚肉や脂ののった魚の塩焼き

日本の自然塩復興運動にも大きな貢献を果たした故・小渡幸信氏が創設した製塩所での塩づくりは、今では人口1000人未満の小さな離島・粟国島の一大産業となっています。12000本もの竹枝を高さ10mに組み上げてタワーを作り、そこに数日間かけて海水をかけ流して濃縮し、薪で炊いた平釜でじっくり煮詰めて結晶化しています。職人の熟練技で、塩の結晶にしっかりとにがりを含ませており、ナトリウム以外のミネラルが多く含まれています。しょっぱさのほか、苦味、甘味、旨味、酸味、旨味など様々な味が次々と口の中に広がります。

月の塩ダイヤモンド(道の駅北浦/宮崎県)

月の塩ダイヤモンド(道の駅北浦/宮崎県)

ストレートでクリアなしょっぱさが魅力

相性の良い料理:白身の魚の刺身(オイルとともに)、野菜類、辛口の日本酒のつまみとして

延岡市の沿岸沿いに位置する道の駅北浦に併設された製塩所で塩作りが行われています。目の前に広がる「全国快水浴場百選・海の部特選」に選ばれた美しい海水を誇る下阿蘇ビーチの海水が原料です。その中でも、少量しかできない大粒の結晶のものだけを選りすぐりました。きらきら輝く結晶は、その名の通りダイヤモンドのような美しさです。ほどよいしょっぱさとほのかな甘味が特徴で、後味は透き通っていて口の中です~っと溶けていきます。

日本と世界の塩の図鑑

しっかり塩を勉強したい方は、こちらの本もおすすめです。

日本をはじめ世界各国の245種類の塩について、詳しい説明やおすすめの使い方が記載されている他、塩の豆知識や基礎知識を学ぶことができます。

日本と世界の塩の図鑑

¥1,650(税込)