第4回 使い分けるとよりおいしい~塩の使い分け~
〜 第4回 〜
使い分けるとよりおいしい~塩の使い分け~
ソルトコーディネーター 青山志穂
一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事。塩の知識啓蒙のため、塩のプロであるソルトコーディネーターの育成のほか、国内外を飛び回りながら塩の基礎知識や使い方に関する講座を実施。メディア出演、執筆売場のコーディネート、商品開発、シェフとのコラボなど活動は多岐にわたる。
みなさん、こんにちは。塩の正しい知識や使い方、塩全般の魅力をお伝えする活動をしている、ソルトコーディネーターの青山志穂と申します。みなさんの生活がぐっと豊かにおいしく、そして健康的になる塩の使い方をお伝えしていこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします。さて、今回は第4回目。塩の使い分けについてご紹介していきましょう。
前回まではこちら
塩を使い分けるとよりおいしくなる理由
以前のコラムで解説したように、塩は1つ1つ味や形(食感)が異なるので、他の調味料と同じように、食材や料塩も食材や料理に合わせて使い分けてあげると、料理をよりおいしくすることができます。ポイントは、食材と塩の共通点を見つけてあげること。共通点があるとまとまりが良くなり、塩だけでコク(うまみ)が増して感じます。
料理にあう塩
塩を使い分けるメリットとは
もちろん、どの塩をどの食材に使っても料理を作ることはできますが、使い分けることによって2つ良い点があります。1つめは、食材の味を活かすことができること。食材と共通点を持つ塩を使うことで、その共通点である特徴が相乗効果によって強調されるため、味が強くなります。2つめは、少量でも塩をよく効かせることができることです。例えば、揚げ物に合うようなしょっぱさの強い粒が細かい塩を、味が繊細な野菜に使ってしまうと塩加減が非常に難しく、得てして塩のしょっぱさが勝って野菜の味わいが消えてしまいがち。逆に、野菜に合うようなしょっぱさがまろやかで粒が細かく馴染みやすい塩を揚げ物にかけると、いくらかけても塩が効かず、必要以上に量をかけることになってしまいます。
塩によって引き出される食材の特徴が変わる
また、食材の特徴は1つではないことが多いので、使う塩を変えると強調される特徴が代わり、1つの食材を様々な味わいで楽しむことができます。たとえばトマトなら、Aという塩なら甘味が強調され、Bという塩ならうまみが強調され、Cの塩だと酸味が強くなる、など。1つの食材や料理を食べながら塩を変えることで、食材の味わいを余すところなく楽しむことができるのも、塩にこだわる楽しさの1つです。ぜひ、食卓にいくつかの塩を用意して、試してみてください。きっとさらに食事が楽しくなると思います。
今回ご紹介する商品はコレ!
いろんな形の塩が試せる!「りょうりをおいしく」
¥1,674(税込)
塩の達人 青山さんが全国各地の塩の生産地を訪問してセレクトした初心者にも使いやすい基本の塩セットです。1つの1つの塩の説明やおすすめの使い方が記載されたパンフレットも入っているので使いやすさ抜群です!
詳しく見る百姓の塩(株式会社百姓庵/山口県)
四季の移ろいを映し出す塩
相性の良い料理:ごはん、麺類、野菜
豊かな山と大きな川、それに育まれた美しい海に恵まれた向津具半島の油谷島で生産される海水塩です。山の四季の移ろいが海にも大きな影響を与えるため、塩にも四季の移ろいが反映されています。ごはんの甘味に似た甘味があるため、この塩で塩おにぎりにすると、お米の甘味がしっかり強調され、冷めても甘くておいしい塩おにぎりができあがります。
黒潮源流塩(有限会社与那国海塩/沖縄県)
日本最西端生まれのバランスタイプ
相性の良い料理:なんにでも
日本最西端に位置する離島・与那国島を流れる黒潮を汲み上げ、毎日2時間かけてピカピカに磨き上げた釜に海水を入れ、薪をくべてじっくり炊き上げた海水塩です。先代から技術と想いを受け継いだ2代目が作り出すこの塩は、味わいのバランスや結晶の大きさがほどよく、さまざまな食材とあわせやすいのが特徴です。どの塩を使うか迷った時にはまずこの塩で試してみるのがおすすめ。
大谷塩(中前製塩/石川県)
上質なバターのような甘味と旨味
相性の良い料理:タイやイカなどの白身の魚介類、鶏肉、スイーツ作り
美しい里山里海を臨む能登半島で、500年前から続く伝統的な揚浜式塩田製法を進化させた塩田から生み出される海水塩です。しょっぱさはまろやかで甘味が強く、後味に良質な発酵バターに感じるようなおいしい脂肪感と甘味と酸味があります。白身の魚介類の刺身に合わせると、食材の甘味を強く強調してくれます。鶏肉を焼く時は無塩で、食べる時に塩をかけるのがおすすめです。
わじまの海塩(株式会社美味と健康/石川県)
浜士が生み出した唯一無二の独自製法
相性の良い料理:牛肉などの赤身の肉、マグロやカツオなどの赤身の魚、発酵食品
「海外の天日塩田を日本の室内で再現したい」という想いの下、長年の研究の結果編み出された独自製法により生み出される海水塩です。牛肉に合わせると、脂の甘味と肉のうまみを強調してくれます。また、濃度3%の塩水(水500ミリリットルに対して塩15g)にして肉を塊のまま30分ほど漬けてから焼くと、よりジューシーな仕上がりになります。
しっかり塩を勉強したい方は、こちらの本もおすすめです。
日本をはじめ世界各国の245種類の塩について、詳しい説明やおすすめの使い方が記載されている他、塩の豆知識や基礎知識を学ぶことができます。
日本と世界の塩の図鑑
¥1,650(税込)